「菊の節句」
2021.09.05

厳しかった日差しも穏やかになって、あちらこちらに秋の気配を感じるようになりました。★今週は「菊の節句」と呼ばれる「重陽(ちょうよう)」を迎えます。古くから9月9日の重陽には不老長寿を願って菊の花を飾り、菊の花を浮かべた酒を飲むなどの風習があったそうです。もともと陰陽思想では奇数の数は「陽」とされ、縁起のいい数と考えられてきました。その中で最も大きい「九」が重なる9月9日は「重九」「重陽」と呼ばれ特にめでたい日とされたようです。旧暦の9月は菊の花が咲く時期であることから「菊の節句」と呼ぶようになったと言われています。「端午の節句」などに比べると馴染みは薄くなっているようですが、なかなか風情のある節句ですね。★「菊は仏さまのお花ですか?」というご質問をいただくことがあります。もともと菊は平安時代に食用、あるいは観賞用の花として中国から伝わったとされています。のちに後鳥羽上皇が菊の花を特に好まれたことから天皇家の菊紋の基礎になったと言われています。江戸時代になると、菊は薬としての効能があることから、高貴で貴重な花として庶民の間にも広まり、ご先祖様にもお供えするようになったようです。日本においては様々な品種に改良され、日本人の豊かな感性に合う花として、お供えだけでなく様々な場面で用いられるようになりました。★週末は穏やかな天気になりそうですが、日中と朝晩の気温の変化には注意が必要な時期になりましたね。
「地蔵盆」
2021.08.24

全国的に不安定な天候になっているようですね。松江も先週から曇りの日が多く、今日も朝から小雨模様となりました。★暦の上では「処暑」の節を迎えて、厳しかった夏の暑さは峠を越えたようです。季節の変わり目を肌で感じる日も多くなり、昨日通りかかった郊外の田園の風景も秋の風情となっていました。「秋立つは 水にかも似る洗はれて 思ひことごと新しくなる(石川啄木)」・・(暑い夏を乗り越えて爽やかな秋に入る 秋というきれいな水に洗われて人の心も新しくなる) 慌ただしい毎日ですが、それでも季節の変わり目はいつも新鮮な気持ちになりますね。★今日、8月24日は「地蔵盆」と呼ばれるお地蔵様の縁日です。地蔵信仰は路傍の神である「道祖神」の信仰と結びついたことから、お地蔵様は辻や道端に祀られることが多くなったと考えられています。もともと浄土信仰が普及した平安時代以降、お地蔵様は無限の大慈大悲の心で私たち衆生を様々な苦しみから救済して下さる菩薩として近畿地方を中心に広く浸透したようです。また、子供たちには格別の自愛の手を差しのべるとされ、赤いよだれ掛けを贈られるお地蔵様も多く見かけます。松江でもあちらこちらの道端にお地蔵様が祀られていますね。★明日も雲が残りそうですが、週の後半には晴れ間も見えそうな予報になりました。
「ガンダーラ」
2021.08.13

「♪そこに行けばどんな夢も叶うと言うよ 誰も皆行きたがるが遥かな世界 その国の名はガンダーラ何処かにあるユートピア どうしたら行けるのだろう教えてほしい・・・」これは1978年にリリースされた音楽グループ「ゴダイゴ」のヒット曲「ガンダーラ」の歌詞です。子供の頃は何でも願いが叶う苦しみのない夢のような理想郷が本当にあるのかも知れないと思ったものです。東洋的なメロディと摩訶不思議な歌詞は印象的で鮮烈に記憶に残っています。随分あとになって「ガンダーラ」は古代インド北西部にある華やかな仏教文明で栄えた実在の王国であったことを知りました。玄奘三蔵法師も経典を求める旅の途中でこのガンダーラの地を踏んだと伝えられています。★2500年前にお釈迦様は「一切皆苦」という真理を説かれました。生きることは即ち苦であるとし、同時に心の在り方でこの「苦悩」を消すことができるという道を示されました。心が極めて穏やかな状態で、執著のない静かな境地・・・。これを「涅槃寂静」としています。時々、本当の理想郷はどんな願いも叶う遥か遠くの世界ではなく、何気ない日常生活の中の、とても身近なところにあるのかもしれないと思うことがありますね。★母里佛具店では明日の14日(土)から16日(月)までお盆休みとなります。17日(火)から通常営業となりますのでよろしくお願い致します。
「立秋」
2021.08.05

暦を眺めると今週末は「立秋」。毎年のように猛暑となる時期が秋の始まりというのも不思議な気がしますね。もともと中国の黄河中流域で成立した「二十四節気」がそのまま用いられている日本では、地域的な違いなどから1ヶ月程度の季節感のズレが生じるそうです。言われてみれば納得ですね。ただ、永い歳月をかけて日本で定着した「季節的情感」は、このズレも含めて固有の文化となっているのかも知れませんね。★あと1週間ほどでお盆を迎えることになりますが、この時期になるとお盆のお供え方法などについてご質問をいただく機会が多くなります。お盆のしきたりや風習については地域ごとの特色や宗派による考え方によって一律ではありませんが、分かる範囲でご説明させていただいています。また、【お盆百科】(全40ページ)という冊子をご用意しています。「迎え火・送り火ってなに?」「盆棚には何をお供えするの?」など、お盆の疑問を分かりやすく解説してあり読みやすい内容になっています。店頭に置いていますので、どうぞご自由にお持ち帰りください。★母里佛具店ではお盆までは休まず営業致します。お盆休みは14日(土)~16日(月)で17日(火)より通常営業となります。明日も猛暑になる予報が出ています。体調管理には十分に留意したいものですね。