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「蒔絵位牌」

2024.04.20

朝晩の冷え込みもなくなり暦では「穀雨」を迎えました。日中の気温も徐々に上昇しているようですね。★「穀雨」は「百穀を潤す春の雨」という意味で、「穀雨」の頃からは徐々に雨量が多くなるので植物の種を蒔いておくと成長の頃には雨に恵まれて順調に育つ時期とされています。田畑の準備が整う頃でもあり「穀雨」を目安に田植えを始める地域もあるそうです。自然の中で生きる草木にとっても活力がみなぎる恵みの季節と言えそうですね。★前回はお仏壇内部の季節の草木を表現した彫刻についての内容でしたが、お位牌にも季節の草花や鳥を描いたものがあります。お位牌は台座部分に梅などを透かし彫りにしたものや獅子や龍などを彫ったものなど様々ですが、最近では画像のような季節の花の図柄を入れた「蒔絵(まきえ)位牌」も作られるようになりました。一般にはスッキリとしたモダン仏壇に合うようデザインされたお位牌が多いようです。桜をはじめ、朝顔や水仙、秋桜や桔梗などを蒔絵で描き入れることで季節感のある美しい仕上がりとなります。画像のお位牌の木地は紫檀材なので戒名入れは金蒔絵で入れるか、彫刻の場合は文字が明瞭になるように金を入れることになります。このお位牌はご依頼者様のご希望で、柔らかな書体の金蒔絵で入れさせていただくことになりました。★今夜から明日にかけては雨の降る予報になっています。週明けまでは雲の多い天候になりそうですね。

「清明」

2024.04.10

暦の上では「清明」を迎えました。終日、穏やかな一日になりそうですね。★日本では四季の移り変わりが比較的はっきりしており、その変化は日本独自の文化を生んだと言われます。住居や食事などはもちろん、風習や芸術などに至るまで季節感は密接に関わり、世界でも類を見ない自然や風土を持つ国として知られています。さらに一年を二十四の節気、七十二の候に分ける暦の概念が加わり、その中で人々は情緒豊かな感性を育んできたとされています。「清明(清浄明潔)」は万物がけがれなく清らかで生き生きとして、花が咲き、鳥が歌う爽やかな季節。いよいよ過ごしやすい気候になりましたね。★お仏壇のデザインは大陸から伝わった仏教観と、日本が持つ独自の自然観が融合して成立したと考えられています。中央には須弥壇があり、周囲には草花や鳥などの彫刻が施されています。各家庭にお仏壇が広まったのは江戸時代からとされていますが、やはりご先祖様にも花が咲き、鳥が歌う穏やかな場所で過ごして欲しいという願いがあったのかもしれませんね。この度、修復でお預かりしたお仏壇の欄間や内陣にも季節を感じさせる草花や鳥などの繊細な彫刻が施されていました。丁寧に修復してからお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)★早いもので玄関先ではツバメの姿も見られるようになっています。週末にかけては気温も上昇する予報になりました。

「春到来」

2024.03.30

今週の後半からは日中の気温も上昇して、蕾だったソメイヨシノも咲き始めています。いよいよ本格的な春の到来ですね。★明日の3月31日は「復活祭(イースター)」。キリスト教ではクリスマスやハロウィンなどと並んで大切な行事とされています。復活祭は十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが3日後に復活したことを祝う行事で、イースターの名称はゲルマン神話のエオストレ「春の女神(Estore)」に由来していると言われています。復活祭は春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に行われるのが基本で、イエス・キリストの復活を祝うとともに、春の到来を祝うという意味もあるそうです。★日本の仏教でも同じ時期の4月8日にお釈迦様の生誕を祝う「花祭り(灌仏会)」が各地で行われます。花祭りはお釈迦様が誕生したインドが起源で、やがて中国でも盛んに行われるようになり日本へも伝わりました。日本では平安時代に宮中で行われていた行事が鎌倉時代になると庶民にも広まり、現在ではお釈迦様の生誕を祝うとともに子供の健やかな成長や無病息災を祈る春の仏教行事として定着しています。大自然の営みが活発になり始める春先には世界各地で様々なお祝いの行事が行われていたようですね。★明日も好天に恵まれる予報になりました。今週末から来週にかけて花見をするには良い気候になりそうです。

「春のお彼岸」

2024.03.20

今日は春のお彼岸の中日。まだまだ寒い日もありますが、徐々に季節は冬から春へと変わろうとしています。春の到来を知らせる白木蓮の花もあちらこちらで咲き始めていますね。★ご先祖を敬い感謝する習慣は私たちの普段の生活の中に浸透していますが、特にお彼岸はご先祖を身近に感じる時期となります。仏教ではお彼岸の中日は太陽が真東から昇り、真西に沈むことからこの世(此岸/しがん)とあの世(彼岸/ひがん)がもっとも通じやすい時と考えられ、ご先祖や亡き人を偲ぶ日、あるいは来世を想う日として捉えられてきました。★そもそも「お彼岸」の習慣はいつ頃からあったのでしょうか?お盆は大陸から伝わった「盂蘭盆(うらぼん)」が祖先祭として定着したものと考えられていますが、春と秋の「お彼岸」の風習は中国などの仏教には見られない日本固有の文化となっているようです。西の方角に沈む夕日を見て西方浄土を観想する「日想観」に基づいているとも言われますがその根拠は明らかではないようです。日本に伝わった浄土信仰が日本古来の神々や風習、あるいは農耕文化や季節感などと融合して日本独自の文化として発展したのかもしれませんね。古い書物によればお彼岸の始まりは平安時代にまでさかのぼり、ご先祖を供養するなどの仏教行事として広まったのは室町時代とされています。(画像は京都銀閣寺の高台から西方を撮影したものです)★慌ただしく時間に追われる毎日ですが、お彼岸にはご先祖や大切だった方を偲び心静かに過ごしたいものですね。