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「梅雨入り」

2023.05.30

昨日は山陰地方も梅雨入りの発表がありました。今日も引き続きすっきりしない空模様になりそうですね。★昨日通り掛かった浜佐田地区の水田では田植えも随分進んでいるようでした。台風の時期までにはしっかり根付いてほしいものです。この地区は佐陀川周辺に位置していますので、江戸時代の開削工事のあと開発された水田になるようです。この時の治水、灌漑工事により安定的に田畑に水を供給することが可能になり収穫量も向上したとされています。米を主食とする人々にとって治水、灌漑工事は欠かすことのできない事業だったと言えそうですね。★そもそも灌漑農業はいつ頃から始まったのでしょうか?灌漑農業の起源は本当に古いようで、紀元前5500年頃、チグリス川とユーフラテス川流域やナイル川流域のエジプトで始まったとされています。人々は水を求めて自然と大河のある付近に集まり、定期的な増水を管理して灌漑農業が行われるようになったとされています。また、農業を効率化するために「暦」も発明されました。それでも大自然の現象をすべて予測することは困難で、自然と神々への祈りと結びつくようになったのではないかと考えられます。秋になると世界各地で収穫祭などが行われ、日本でもその年の新穀を神前に奉納し新嘗祭(感謝祭)が営まれます。★今週は概ね不安定な天候になりそうです。明日は一時的に晴れ間の見える予報になっていますね。

「小満」

2023.05.20

今朝の松江は雲が多く早朝には小雨も降っていたようです。日中には天候も回復するようで、明日にかけては気温も上昇する予報になりました。★暦では間もなく「小満」を迎えます。農家では田植えのシーズン真っ盛りですね。小満は「万物の成長する気が強くなり、天地に満ち始める頃」とされています。これは秋に蒔いた麦の穂が順調に育ち、ひと安心できる頃であることから「小満」と呼ばれるようになったと言われています。これからは何をするにも適した過ごしやすい時期と言えそうですね。★田植えのシーズンと重なるように、私たちの仕事もお盆前まで慌ただしくなります。工房では連日のように金箔作業も続けています。画像は仏具製作には欠かせない金箔工程で、手前側は作業前の金箔、奥は作業後に出た切り端の「残り金箔」です。この「残り金箔」は平面に使用することはできませんが、金箔と金箔の繋ぎ目を埋めるためには欠かせない金箔となります。金箔は1万分の1ミリほどの厚さしかありませんので肉眼での作業には限界があり、むしろ感覚に頼る作業と言えます。エアコンの風でさえ吹き飛ぶ軽さなので窓は閉め切っての作業となり、夏に向かうこれからの時期は暑さとの勝負でもありますね。★週明けからは初夏らしい天候になる予報で、軒先で誕生したツバメの雛にとっては成長するいいタイミングとなったようです。

「盆提灯の修理」

2023.05.10

「立夏」を迎えてからは爽やかな初夏の風が吹くようになりました。早いもので軒先のツバメも卵を温め始めているようです。★例年、連休を過ぎる頃から盆提灯の修理のご相談をいただくようになります。私たちの工房でも仏具の修理のほか、盆提灯の修理もお盆直前まで行っています。提灯は概ね「木枠」「電装」「火袋」の3つで構成されていて、このうち最も傷みやすいのが「火袋」と言われます。虫食いや経年による傷みが主な原因ですが、多くの場合は修理が可能です。「昨年までは綺麗だったのに、出してみたら虫食いの穴が開いていた」などというご相談が特に多いように感じます。一般に紙や絹を食べる紙魚(シミ)などの小さな虫が原因と思われますが、デンプン質の糊を好物にしている虫もいますので盆提灯の「火袋」は特に被害を受けやすいようです。丁寧に掃除をして収納したつもりでも火袋に直接卵を産み付けることがあり、秋以降に提灯の箱の中で孵化(ふか)した虫が火袋に穴を開けてしまいます。収納する際に防虫剤を入れて、比較的湿気の少ない場所で保管すれば良好な状態を維持することができます。また、電装部品や木地の修理なども可能ですので、損傷のある場合はお早めに専門店にご相談ください。★今日も全国的に好天に恵まれる予報になりました。日中は気温も上昇しそうですね。

「江戸時代の位牌」

2023.04.30

季節は移り間もなく「八十八夜」。立春から数えて八十八日目のこの日は、「茶摘み」の歌にもある通り夏も近づく頃。日増しに初夏の気配を感じるようになっていますね。★この時期からお盆までは古いお位牌を過去帳にまとめるご依頼なども多くなります。ご先祖の戒名を過去帳にまとめる場合は、仏壇のお位牌や寺院にある戒名帳などを参考にして作成しますが、稀に古いお位牌をお預かりすることがあります。画像は仏壇に保管されていた大変古い位牌の札板で、煤(すす)で黒くなった状態のものです。このような状態でも順調に煤洗いができれば戒名や没年月日を確認することができます。洗浄の結果、最も古い右側の札板は元文三年(1738年)のものであることが分かりました。中央は宝暦年間、左側は安永年間に作られたお位牌です。台座の部分は欠損しており経年による傷みは見られるものの、約300年前のお位牌も形状や戒名の配列などについては現在のお位牌と基本的には同じであることが分かります。この時代の人々は普段の生活の中でどのようにご先祖と向き合ったのでしょうか。古くから追善という意識が人々の暮らしに浸透して受け継がれてきたとされていますが、お位牌が300年近くの長きにわたり大切に安置されていたことにはただ驚くばかりです。(画像はご依頼者様のご了解をいただいて掲載しています)