「小林如泥」
2025.04.30

大型連休に入ってからは気温も上昇して全国的に穏やかな天候になっているようですね。昨日は松江城大手前周辺にも多くの方々がお出掛けでした。★松江城北惣門橋前にある「松江歴史館」では松江の名工「小林如泥/1753~1813年」の企画展が6月15日までの予定で開催されています。小林如泥(じょでい)は松江藩・松平家七代藩主松平治郷(号 不昧)に仕えた指物師で、その優れた技術と美意識は後世の彫刻家にも大きな影響を与えたことで知られています。昨日は僅かな時間でしたが私も拝観させていただきました。どの作品も見事で、一体どのようにして製作されたのか不思議でなりません。鑿、小刀、糸鋸などの道具類の展示はありませんでしたが、現存しているものがあれば是非見てみたいものです。★如泥は宝暦三年、松江大橋に近い大工町(現・灘町)に生まれ、寛政九年(1797)には松平治郷公から「如泥」の号を授けられました。如泥は酒を好み、泥のように酔ったと伝えられます。いつでもふところに五枚の板を持ち歩き、酒を飲む時はその板を組み立てたそうで、それは少しの隙間もなく、ひとしずくの酒も漏れなかったという逸話が残っています。菩提寺は寺町の常教寺。現在でも灘町の歳徳宮をはじめ、月照寺の治郷公・廟門の彫刻、賣布神社・幣殿の龍の彫刻などの作品が大切に残されています。一度は拝見したいものですね。
「穀雨」
2025.04.20

暦の上では「穀雨」を迎えました。朝晩でも寒さを感じることはほとんどなくなっていますね。★「穀雨(こくう)」とは「百穀を潤す春の雨」という意味。この時期以降には徐々に雨量が多くなるので植物の種を蒔いておくと成長の頃には雨に恵まれてすくすく育つとされます。田畑の準備が整う時期でもあり、農家では「穀雨」は田植えを始める頃の目安になっているそうです。自然の中で生きる草木にとっても活力がみなぎる恵みの季節ですね。★例年、私たちの工房では5月の大型連休直前になると納品などで慌ただしくなります。今年も4月の中旬からは「塗り箔作業」などで気忙しくなってきました。「塗り」や「金箔押し」では一つ前の工程の出来が次の工程の仕上がりに影響するので、細心の注意を払って作業を進めます。慌ただしい時期でも油断はできませんね。★いよいよ来週末からは大型連休に入ります。連休中には多くのメーカーがお休みとなりますので、取り寄せ品につきましてはご不便をお掛けすることがあります。この時期にはお位牌の戒名入れなどのご依頼も集中しますので、法要などの日程が決まっている場合は早めのご準備をおすすめしています。母里佛具店では大型連休中は5月3日(土)~6日(日)を休業とさせていただきます。それ以外の日は通常通り対応させて頂きますので宜しくお願いいたします。
「花祭り」
2025.04.10

うららかな春の陽気とともに気温も上昇して、松江城周辺のソメイヨシノも一気に開花しました。週末は観光で松江を訪れる方も多かったようですね。★この時期にはお釈迦樣のご生誕を祝う行事が各地で行われます。日本では4月8日に行われることが多く、寺院では「灌仏会(かんぶつえ)」あるいは「降誕会(ごうたんえ)」などと呼ばれる法会が営まれます。満開の桜の時期と重なることから「花祭り」という呼び方も馴染みがありますね。★今から約2,600年前にお釈迦樣は現ネパール南部のルンビニーの花園でお生まれになり、すぐに七歩進まれ天と地を指さし「天上天下唯我独尊」と言われたと伝えられています。この言葉の意味については諸説あるようですが「この世に生まれたその命は、天上天下に唯ひとりの、誰とも代わることのない人間として、この命のままに尊い」などと解釈されるようです。お釈迦様が生涯を通して説かれた言葉の根幹がここにあるのかもしれませんね。★今日の松江は雲の多い朝を迎えました。週末から週明けにかけても不安定な天候になりそうな予報になっていますね。
「白木蓮」
2025.03.30

お彼岸が明けてからは厳しい寒さも和らいで、いよいよ本格的な春の訪れを感じるようになりました。この時期になるとあちらこちらで白木蓮が咲き誇ります。白木蓮(ハクモクレン)はその花びらの形が蓮の花に似ていることから木に咲く蓮とも呼ばれます。春の到来を告げるかのように咲く純白の花びらは存在感がありますね。先日は近くの「普門院」の境内でも青空の下で綺麗な花を咲かせていました。★普門院は「天台宗延暦寺」の末寺で、松江開府の祖、堀尾吉晴公が松江城鎮護の祈願所として開山した寺院。天台宗は伝教大師「最澄」が中国の天台大師「智顗(ちぎ)」の教えを持ち帰り、日本天台宗の基礎を築き上げたことでも知られています。最澄は「願文」の中で「私たちの住むこの迷いの世界は、ただ苦しみばかりで少しも心安らかなことなどない。(中略)人間として生まれることは難しく、また生まれたとしてもその身体は儚く移ろいやすい。因なくして果を得、この処(ことわ)りあることなく、善なくして苦を免がる、この処りあることなし」として世の無常や因果の厳しさを述べ、だからこそ生きているうちに善い行いをする努力を惜しんではならないと「心願」を立てられたそうです。★白木蓮の花言葉は「気高さ」「荘厳」「高潔な心」。 寺院に相応しい花と言えそうですね。