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「重陽」

2024.09.10

日中の気温は上昇して連日、厳しい残暑となっています。それでも朝夕に吹く風の涼しさに秋の気配を感じるようになりましたね。★お盆が明けると私たちも秋のお彼岸までに納入する業務で慌ただしくなります。画像は洗浄・クリーニングでお預かりした唐木仏壇の分解途中のものです。これは昭和の終盤に造られたお仏壇で、木地は大変安定しており組立ても丁寧な技法となっていました。お線香などの油煙による汚れは見られるものの大切にされてきた様子がうかがえます。このあと全体の洗浄、木地表面の調整、塗装、障子張り替え、背金張替、組立てという手順で進めることになります。丁寧に仕上げてお彼岸までにはお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解をいただき掲載しています)★今週は「菊の節句」と呼ばれる「重陽(ちょうよう)」を迎えました。現在は稲刈りの時期と重なるので秋の入り口というイメージになっていますね。もともと陰陽思想では奇数は「陽」とされ、縁起のいい数と考えられてきました。その中で最も大きい「九」が重なる9月9日は「重陽」と呼ばれ、特にめでたい日とされたようです。日本では旧暦の9月は菊の花が咲く時期であることから「菊の節句」と呼ばれるようになったと言われます。「桃の節句」や「端午の節句」などに比べると馴染みは薄くなっていますが、現在でも各地で風情のある様々な「重陽」の行事が行われているようですね。

「二百十日」

2024.08.30

台風10号の接近にともない各地で大きな被害が発生しているようです。気象庁では今後も暴風や大雨に十分警戒するよう呼びかけていますね。★暦の上では間もなく「二百十日」。これは立春から数えて210日目という意味で、今年は8月31日となります。二百十日は古くから季節の変わり目となる時期で、台風などが発生して天候が荒れやすくなる頃とされ、農家などでは稲の出穂期に当たることから「厄日」とする地域もあるようです。無事に秋の収穫期を迎えてほしいものですね。★お盆を過ぎてから僅かな時間でしたが、私たちも暫しの休息をいただきました。心身共に新たな気持ちで今年の後半に臨みたいと思います。休息中には普段は慌ただしくてできない漆箔作業や彫刻の検証、あるいは筆文字の調整などを行いました。今でも以前に師匠から教わった通りの検証方法を繰り返しています。文字を彫刻する場合は自分の意思というより、指先が勝手に動いて彫刻できるようになるまで繰り返し練習して体に染み込ませるよう教えられたのを思い出します。もちろん道のりは遙か遠く、どこまでも練習の積み重ねということになりそうです。★台風は今夜にも島根県に最接近する予報になりました。今後も最新の情報を確認しながら備えなければなりませんね。

「処暑」

2024.08.20

8月16日には松江大橋周辺で「灯籠流し」が行われました。静かに川面を流れる灯籠はとても幻想的で、この時期の風物詩になっていますね。灯籠流しで精霊を送ると間もなく「処暑」を迎えます。処暑(しょしょ)は二十四節気のひとつで「厳しい暑さが収まる頃」とされています。とはいえ日中の気温はかなり上昇しているのでもう暫くは暑さ対策が必要になりそうです。★電気の無かった時代の人々は扇風機もエアコンも無い生活の中で暑い夏をどのように過ごしたのでしょうか? 便利になった現在の生活からは想像することさえ難しいですね。古い書物などには江戸時代の人々は日常の暮らしの中で涼しさを求めるために様々な工夫をしていたと書かれています。日中は簾(すだれ)や葦簀(よしず)などを活用して風通しの良い空間で過ごすのが基本だったようで、家の玄関先や道に水をまく「打ち水」も盛んに行われたそうです。また、井戸水で冷やした「西瓜」や、商人が売り歩く「冷や水」も人気があったとか。意外ですが、「甘酒」なども栄養補給と夏バテ防止の効果もあることから好んで飲まれていたそうです。日々の暮らしの中では「金魚」や「風鈴」なども涼しさを演出する小さな工夫だったのかもしれませんね。★まだまだ残暑は厳しいですが、先人達の工夫に倣って暑い夏を乗り切りたいものです。

「お盆」

2024.08.12

いよいよ明日からはお盆。朝晩は少しだけ過ごしやすくなっていますが、まだまだ暑い夏が続きそうですね。★そもそも「お盆」の由来は何でしょうか?「お盆」は仏教における「盂蘭盆(うらぼん)」に基づくとされています。語源はサンスクリット語の「ウランバーナ(逆さに吊り下げられた苦しみ)」とされ、盂蘭盆経に書かれた目連尊者の説話が広く知られています。その昔、お釈迦樣の弟子の目連尊者の母親は子である目連尊者を溺愛し、周囲の不幸に無関心であったことが原因で餓鬼道に落ちてしまいます。餓鬼道に落ちた母は逆さに吊され、食べることも飲むことも出来ずに苦しむことになりました。神通力を持つ目連尊者は母のその姿を目にし、嘆き悲しんでお釈迦樣に相談します。するとお釈迦樣は、自分の力を母親のためだけでなく、母親と同様に飢え苦しむ人々のために使うよう諭しました。これに従った目連尊者の功徳により母親は極楽往生を遂げたとされます。盂蘭盆の概念については諸説あり定かではないようですが、古来より日本にあった祖霊を祀る文化と融合して現在のようなお盆の行事になったと考えるとなるほどという気がします。お盆はご先祖や故人とつながる時期。心静かに過ごしたいものですね。★明日からの3日間はお盆休みとさせていただきます。お盆前の期間にはご愛顧を賜りましたことスタッフ一同、心よりお礼申しあげます。