「春の養生」
2026.03.05

今日の松江は穏やかな朝を迎えました。松江城周辺の風景も冬から春へと移り変わろうとしていますね。★暦は巡り今日は「啓蟄(けいちつ)」。 暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也」とあり、土中で冬ごもりをしていた生き物が目覚め、生き生きと活動を始める頃とされます。私たちの暮らしも新年度を迎える前の準備などで慌ただしさを感じるようになりました。この時期は気候も良くなり仕事の効率も上がりますが、それでも一日の寒暖差は大きく油断すると体調を崩してしまいます。季節の変わり目でもあり、やはり体調管理には留意しなければなりませんね。★気温の変化とともに、食生活などに乱れが出てしまうのもこの時期でしょうか。東洋医学では「春は肝を養う季節」とされ、肝の働きを助ける食材を意識して摂ることが推奨されています。酢、レモン、梅干し、トマトなどの酸味のある食品は肝の機能を調整する役割があり、菜の花、ふきのとう、タケノコ、セリなどは老廃物を排出する効果があるとされています。一方で、油っこいものや、甘い物、冷たい飲み物などは消化器の働きを低下させるので控えた方が良いとされます。★冬眠する性質を持たない私たち人類は、冬の間の運動不足でついカロリー過多となってしまいます。適度な運動と規則正しい生活習慣を心掛けて元気に暖かい春を迎えたいものですね。
「道具」
2026.02.20

暦の上では「雨水」を迎えました。朝晩の冷え込みは弱まって、日中の気温も上昇する日が多くなっていますね。★日々の仕事で使う道具には入荷してすぐに使えるものと、一定の準備が必要になるものがあります。画像は「蒔絵(まきえ)筆」と呼ばれるもので、先端の筒状の部分は破損しやすいので事前に絹糸を巻き黒漆で固めて補強してから使用しています。これらは漆で仏具に銘を書き入れたり絵柄を書いたり、また、お位牌の戒名を書き入れる時などにも用います。穂首の腹の部分でも太さが1ミリ程度しかなく、最初は針のような穂先で漆文字を書くなど信じられませんでしたが、書いてみると意外に使い易くて驚いたのを覚えています。★そもそも、人類が筆を使うようになったのはいつ頃からなのでしょうか? 古代エジプトの墓の副葬品などの中に草や葦などの植物素材を筆状にしたものが発見されていることから、紀元前2,000年ころには記録するための道具として筆が使用されていたと考えられています。また、中国の周時代の遺跡からは現代の筆とほぼ変わらない構造のものが発見されており、私たちの知る形状の筆は2,000年以上前から存在していたことになります。道具の歴史として考えれば驚くほど長寿命と言えそうですね。★日常生活の中での文書作成はパソコンに頼っていますが、絵や文字を表現したいという根源的な欲求がある以上、基本的な道具はさらに長い歴史を辿るのかもしれませんね。
「自灯明・法灯明」
2026.02.10

立春を迎えてから寒さは一段と厳しくなり、先週末は日本海側を中心に各地で大雪となったようです。松江城周辺も一面の銀世界となっていましたね。★今から約2,500年前、お釈迦様はインド・クシナガラの地で入滅されたと伝えられています。現在でも世界各地でお釈迦様の遺徳を偲び、感謝の気持ちを捧げる法要が執り行われます。日本では2月15日に「涅槃会」と呼ばれる法会が各地の寺院で執り行われていますね。★お釈迦様は亡くなられる少し前、お釈迦様の亡き後を心配する弟子に対し、これからは 「自らを灯とし 自らをよりどころとせよ そして法を灯とし 法をよりどころとせよ」と説いたと伝えられています。これは「自灯明・法灯明」と呼ばれる有名な言葉で、「正しい道しるべ(真理)に従って 自分自身を頼りに自分の足で歩いて行きなさい」と解釈されます。釈尊入滅の際には多くの弟子達が悲嘆に暮れたことは想像に難くありませんが、この言葉は弟子の一人ひとりに勇気を与えたのではないでしょうか。苦難に直面した時には、自分がどう考えどうあるべきかを問い、指標を見失いそうな時には真理に照らすことで道にあかりを灯す。情報が氾濫する現代社会の中でこそ見つめ直したい教えなのかもしれませんね。★厳しかった寒さも徐々に緩みそうです。今週末には気温も上昇する予報になりましたね。
「雪中梅」
2026.01.30

先週は全国的に大雪に見舞われ、各地で交通機関に支障が出たようです。松江でも今年一番のまとまった積雪になりましたね。★大寒を過ぎた頃には松江城の椿谷にある梅の老木も咲き始めていました。凍るような寒さの中で自らの生命の限りを尽くして、ひたすら生きようとしているように感じます。ともすれば怠惰に流れがちな日常生活の中で、ふと出会う梅の花の姿に戒められるような気持ちになるのは不思議なものですね。★「初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫す」(新春のよき月 空気は美しく風は和らぎ 梅は美しき女性の鏡の前に装う白粉の如く白く咲き 蘭は香の如く薫る) 日本では四季折々の中で生きる草花に感銘を受け、あまたの歌人たちがその姿を歌に詠んできました。これは万葉集の「梅花の歌三十二首」の序として記されたもので「令和」の由来となった歌として知られています。元号が「令和」となった背景には「厳しい寒さのあとに春の訪れを告げ 見事に咲き誇る梅の花のように 一人ひとりの人々が明日への希望とともに それぞれの花を咲かせることができる そうした日本でありたい」という願いが込められているそうです。★週明けからは如月。すべての人にとって暖かな春の訪れになるといいですね。