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「灌仏会」

2022.03.30

早いもので間もなく4月。来週の8日にはお釈迦様のご生誕を祝い各地で「花まつり(灌仏会)」の法要が執り行われます。★2500年前、お釈迦様が生まれた頃のインドはどのような国だったのでしょうか?書物などによればインド北東部では農業や酪農を中心とした産業が発展し、やがて都市が生まれ、いくつかの種族が国を治めるようになったとされています。また、都市の発展とともに貧富の差や身分の差が生まれ、人々は生きることの意義を探求するようになり、様々な信仰が生まれたとも言われています。当時、お釈迦様は35歳で悟りを開き「輪廻転生からの解脱」そして「苦悩からの解脱」を説かれました。この教えはインドから中央アジアを経て中国、朝鮮半島に渡り538年には日本にも伝わります。日本では鎮護国家を目指す信仰として受け入れられ、やがて鎌倉時代になると個人の苦悩を救う庶民の仏教として徐々に民衆の間にも広まり、これらの多くは現在の日本仏教の根幹となっています。お釈迦様ご生誕から2500年の歳月を経て文明は進歩し社会は大きく変わりましたが、人々が生きることの意義を探求し、幸せを願うという本質においてはそれほど大きく変わっていないのかもしれませんね。★各地でソメイヨシノが開花しているようです。松江城周辺の桜も今週末は見頃になりそうですね。

「諸行無常」

2022.03.20

松江城椿谷の梅は見頃を終え、徐々に散り始めています。春のお彼岸を迎えて、いよいよ本格的な春の到来ですね。★仏教では花の開花の様子はしばしば「諸行無常」の真理に例えられます。移りゆく季節も、咲いた花がやがて散るのも無常。世のすべてのものは変化し留まることはなく、そこに執着することもない、と説かれます。自分の命も永遠ではなく、だからこそ今をひたむきに生きよ、ということかもしれませんね。★「祇園精舎の鐘の声・・」の冒頭文で知られる平家物語は今から800年前の軍記物語で、琵琶法師により語り継がれたとされています。「諸行無常の響きあり・・」隆盛を極めた平家の栄華もやはり「無常」であったとしています。軍記物語でありながら随所に仏教的な概念が登場するのは印象的ですね。当時、平家は強大な権力を得て全国の所領の半分近くを治めるまでとなり、やがて「平清盛」は武士としては初めての太政大臣となります。しかし、頂点を極めたものの「一の谷の戦い」「屋島の戦い」で敗れ、さらに「壇ノ浦の戦い」で敗れ、寿永4年3月24日に平家一門は滅亡します。800年前のこの出来事から時代は大きく動き、やがて貴族中心の平安時代から武士が台頭する鎌倉時代へと移ります。★松江城二の丸ではソメイヨシノの蕾が膨らみ始めていました。今週は天候も回復して、日中の気温も上昇しそうですね。

「六波羅蜜」

2022.03.10

慌ただしくスタートした令和4年も、いつの間にか3月。早いもので来週の後半には春のお彼岸を迎えます。堀川周辺の草木も徐々にほころび始めているようですね。★広く知られた「般若心経」の正式名称は「般若波羅蜜多心経」。「般若」は事物や道理を見抜く深い智慧を意味する「panna」の音写、「波羅蜜多」は悟り・彼岸に至るための行為を意味する「paramita」の音写、「心経」は大切な教えを意味することから「深い智慧によって悟りに至るための大切な教え」となるそうです。普段は使うことのないサンスクリット語をそのまま漢字にしてあるので難しいですね。また、大乗仏教では「彼岸」に至るための六つの修行徳目を「六波羅蜜」として示しています。これは、布施(見返りを求めない施しをする)、持戒(規則を守り、正しい生活を送る)、忍辱(耐え忍ぶ)、精進(正しい努力をする)、禅定(心を統一し集中する)、智慧(この世の真実・真理を見抜く)の六つ。「彼岸」とは「あの世」を意味する仏教用語で「執着を離れた迷いのない穏やかな境地」とされています。現代社会の気忙しい日常の中ではなかなか思うように行きませんが、せめてお彼岸の間だけでも心掛けたいものです。★朝晩の冷え込みも徐々に和らいで、春の気配を感じるようになりました。今週は日中の気温も上昇する予報になっていますね。

「宮殿」

2022.03.01

厳しかった冬も峠を越えて、いよいよ春の入り口に差し掛かっているようです。今週末は「啓蟄」。気温も徐々に上昇して虫たちも活動の準備を始める頃ですね。★松江仏壇の修復は「塗り」の行程を終えて、最後の「組立て」の行程に入りました。独特な構造を持つ複雑な「宮殿」の修復にやや時間が掛かりましたが、全体的には木地の傷みも少なく、作業は順調に進んだように感じています。このあと欄間(らんま)と背板を組み上げ、最後に障子と扉を取り付けて完成です。今回は住居のご新築に合せてお仏壇も修復されることになりお預かりしたもので、何とか住居の完成に間に合わせることができて安堵しています。これからも長い歳月にわたりご先祖様を安心してお祀りいただけるよう、最後まで丁寧に組み上げたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)★お仏壇の内陣上部には多くの場合、画像のような屋根型の「宮殿」が設けてあります。宮殿は「浄土の楼閣」を具現化しているとされ、一般には「須弥壇」の上に設置されます。「須弥壇」とは仏殿内で仏像などを安置するために設けた高い台のことで、古代インドを起源とする世界観の中心にそびえる聖なる山、「須弥山(しゅみせん)」に由来すると伝えられています。★明日までは雲の多い天候になりそうですが、週の後半には晴れ間も見える予報になっていますね。