「遣唐使船団」
2020.09.05

松江は雲の多い朝を迎えました。台風10号の影響もあり全国的に不安定な天候になっているようです。★かつての人々は、優れた航海技術や天候予測の技術も持たないまま、小さな木造船で大陸(唐)に向けて出航しました。「遣唐使船団」と呼ばれるこの一行は難波から瀬戸内海、那大津(博多)、壱岐、対馬を経て海峡を渡り朝鮮半島の南岸沿いを北上し、山東半島付近からは陸路で都(長安)を目指したとされています(北路)。航海は大変に危険なもので、台風などはもちろん、未熟な造船技術などの影響で多くの船が行方不明になるなど、渡航の成功率は50%程度だったと言われています。当時、最も繁栄していた唐から最新の文明や技術、医薬品、美術品、仏典などを持ち帰るために多くの選ばれた秀才たちが海を渡りましたが、どれだけ強い意志であったのか、現在では想像することもできません。630年の第1回目から894年に遣唐使が廃止されるまでの間に多くの留学生や僧が海を渡り、政治制度をはじめ多くの文明がもたらされ、日本に多大な影響を及ぼしました。これらの多くは便利になった現在の私たちの生活の中にも浸透していると言われています。現在では考えらないことですが、1400年前の勇敢な先人達にとって命を賭けて海を渡ることは「生きること」そのものだったのかも知れませんね。★山陰でも明日から風が強まりそうです。台風10号は強い勢力を保っているようなので十分な警戒が必要ですね。
「処暑」
2020.08.25

お盆が明けてからも連日のように各地で猛暑となっています。今日も全国的に日中の気温は上昇する予報になりました。★暦の上では「処暑(しょしょ)」の節を迎えています。「処暑」は「厳しい暑さが終わる頃」という意味で、暑さは残るものの朝夕には涼しい風も吹き、夏の終わりを感じさせる時期とされます。ただ、今年は梅雨明けからずっと厳しい暑さが続いていますね。それでも、田んぼにはトンボが飛び交い、玄関先の燕の姿も徐々に見なくなって、ほんの僅かですが季節の変わり目を感じるようになりました。久しぶりに通りかかった佐陀川周辺の水田でも存分に陽を浴びた稲穂がのびのびと成長していて、間もなく収穫の時期を迎えようとしています。★農家の方々は冬の寒さの中で支度を始め、春先には種を蒔き、水不足や風を心配しながら手入れをして夏を過ごし、秋の収穫の時期を待つことになりますが、その間のご苦労は想像を超えるものではないでしょうか。古くは稲の収穫の時期になると動物に稲を荒らされないよう、仮小屋を建てて夜中に見張り番もしていたそうです。「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ(百人一首)」(現代語訳:秋の田圃のほとりにある仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れることですよ)★週末にかけても気温は上昇する予報になりました。本格的な秋の訪れはもう少しですね。
「四門出遊」
2020.08.14

お盆を迎えて全国的に猛暑になっているようですね。松江も連日のように30度を超える暑さとなっています。★私たちも慌ただしかった日常に区切りをつけると、一気に静かなお盆を迎えることになります。毎年、わずかな期間のお盆休みですが穏やかな気持ちで過ごすことにしています。今年は新型コロナウイルスの影響もあり親戚宅に出掛けることもなく、いつも以上に静かなお盆になりました。★釈迦族の王子として生まれたお釈迦様は、なぜ何不自由ない暮らしを捨ててまで出家されたのでしょうか。出家の動機は諸説ありますが「四門出遊」の説が広く知られています。お釈迦様はある日、東門を出ると元気のない老人に遭遇し、老いの哀れを感じます。またある日、南門を出ると道端に倒れている病人に遭遇し、病の苦しみを感じます。またある日、西門を出ると遺体を運ぶ葬儀の列に遭遇し、避けることのできない死の恐怖を感じます。人は生きる上で「老、病、死」の不安から逃れることはできず、日々無為に過ごしていることを痛感します。そしてある日、北門を出ると落ち着いた振る舞いの、清らかな足取りで歩く修行者に出会います。お釈迦様はこの姿に感動し、出家を決意したとされています。本当の幸せとは、富や名誉、権力など物質的なものではなく、不安や怒り、欲望などに支配されない穏やかな境地(涅槃)であると説かれました。★しばらくは猛暑が続きそうです。熱中症にも注意が必要ですね。
「お盆百科」
2020.08.05

梅雨が明けてからは連日のように真夏日となっていますね。松江も昨日は33度を超えていたようです。★あと一週間余りでお盆を迎えることになりますが、この時期になるとお盆のお供え方法などについてご質問をいただく機会が多くなります。お盆のしきたりやお供えの方法は地域や宗派によっても違いがありますので、分かる範囲でご説明させていただいています。また、【お盆百科】(全40ページ)という冊子をご用意しています。「棚経ってなに?」「盆棚の作り方はどうするの?」「迎え火・送り火ってなに?」など、お盆の疑問を分かりやすく説明してあり読みやすい内容になっています。店頭に置いていますのでどうぞご自由にお持ち帰りください。また、盆提灯の組み立て方等で分からないことがありましたら遠慮なくご一報下さい。ご希望があればお手伝いに伺います。★今年は新型コロナウイルスの影響で様々なイベントが取りやめになっているようです。また、帰省を控える方も多く、寺院などで営まれる法要も縮小して行われることが多くなっていると聞いています。毎年、8月16日に松江大橋川・宍道湖畔で営まれている「灯籠流し」も今年は取り止めになったそうで、今年はそれぞれが心静かにご先祖様に手を合わせるお盆になりそうですね。★母里佛具店ではお盆までは休まず営業致します。お盆休みは14日(金)~16日(日)で17日(月)より通常営業となります。今週も猛暑になる予報が出ています。体調管理に留意して乗り切りたいものですね。