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「位牌修理①」

2021.02.15

松江では昨夜から雨模様になっています。今日は終日、不安定な天気になりそうですね。★春のお彼岸まであと1ヶ月となって、私たちの工房も慌ただしくなってきました。画像は修理のご依頼でお預かりしたもので、40年以上前に作られた「京型櫛五重」というお位牌です。ローソクなどの油煙を落とす「煤抜き(ススぬき)」処理をしたところで手順について悩み始めました。金箔の部分は煤が取れたので綺麗になりましたが、塗りは打ち傷の部分から剥離しています。このまま金箔押しの作業に入れば再び浮き上がってしまうので対策が必要になります。考えた末に、今回は削ぎ落とせる塗膜は全て削ぎ落とし、下地処理からしっかり補修することにしました。手間はかかりますが出来栄えは良くなりますので、仕上がり最優先で作業に入ることにします。★私も駆け出しの頃は何度も作業手順を変更することがありましたが、経験を積むことで次第に予定通りの手順で進めることができるようになりました。塗りの修行は10年とされており、徹底的に基本を学びます。10年で完成という訳ではなく、むしろそこからがスタート。何十年の経験を積み重ねたベテランでも常に修行期間であり、大切な仏様を取り扱っているという謙虚な気持ちで仕事をすると言われます。限られた納期ですが、ご依頼者様に納得していただけるよう丁寧に仕上げたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)

「銅鐸」

2021.02.05

松江は雲の多い朝を迎えました。日中は気温も上昇して、穏やかな天気になりそうですね。★「銅鐸」は仏教が日本に伝わる遥か昔に朝鮮半島から伝わったとされています。出雲地方では「荒神谷遺跡」や「加茂岩倉遺跡」など、集落周辺ではなく山の斜面などから出土しています。その外見から日常的なものでないことは想像できますが、一体、誰が何の用途で用いたのでしょうか?古代史マニアでなくとも気になるところです。一説にはその起源は中国で「銅の鈴」として作られたものが朝鮮半島に伝えられたとされています。始めは手のひらサイズ程度の小さなもので、人の腰や家畜の首に取り付けられ、やがて大きなものが作られるようになったようです。外側の文様に描かれた絵の内容から、狩猟生活から農耕生活へと移り豊作祈願の祭器として用いられるようなったとする説が有力で、やがて政治権力のシンボル的な神器へと変化したと考えられています。しかし、これらはあくまでも推測であり実際のところは現在でも定かではないようです。ただ、日本は地理的にも災害が多く、古代の人々も自然の厳しさと共生していたとすれば、大自然の神々を崇め人智を超えた恵みに感謝するための祭祀で用いていたと考えても不思議ではありませんね。★週末は雲の多い天候になりそうですが、来週からは厳しい寒さも和らぐ予報になりました。

「初天神」

2021.01.25

今日の松江は久しぶりに青空の見える朝を迎えました。気温も上昇して穏やかな一日になりそうですね。★早いもので1月も終盤に差しかかりました。今日は今年最初の天神縁日の「初天神」。この時期は受験シーズンと重なることから、学問の神様である「菅原道真公」が祀られている全国の天満宮や天神社には多くの受験生がお参りして賑やかになります。受験シーズンの到来ですね。★道真公は承和12年(845年)6月25日丑年の生まれで、幼い頃から非凡であったとか。勉学に励み33歳で文章博士となり、その後も宇多天皇の右腕として活躍するまでになったそうです。しかし、その後は政敵の策略に遭い大宰府(福岡県)に左遷され、京に帰ることなくその地で亡くなります。それ以後、京都では洪水や疫病など毎年のように災難が起き、策略の中心人物をはじめ宮中の要人が次々に亡くなるという災難が起きたことから、道真公の霊を鎮めるため京都北野の地に「北野天満宮」が創建されました。江戸時代になると全国各地に読み書き算盤を教える寺子屋が普及し、そこには道真公の御神影が掲げられるようになり全国各地で「学問の神様」として崇拝されるようになったそうです。★受験のシーズンになると北野天満宮には梅が咲き誇り、随所に置かれた道真公ゆかりの「臥牛の像」も受験生を迎えます。今年はコロナの感染予防や共通テスト対応など例年と違う受験となっているようですが、頑張った全ての受験生に嬉しい春が訪れることを願うばかりですね。

「小正月」

2021.01.15

先週半ばから降った雪もすっかりとけて、昨日は各地とも暖かな一日になったようですね。松江城の椿も早いものは咲き始めていました。★今日は暦の上では「小正月(こしょうがつ)」と呼ばれる日で、古来より小豆を入れた「小豆粥」を焚いて無病息災や五穀豊穣を祈る風習があったそうです。また、14日から16日の3日間は年末からお正月にかけて忙しく働いた主婦をねぎらう風習もあり、この期間を「女正月」と呼ぶ地域もあるようです。現代のように医療が発達していない時代には、家族の健康や長寿を願う風習は今以上に生活の中に溶け込んでいたのかも知れませんね。地域によっては現在でも「小正月」の時期の風習が伝統的な行事として残っており、秋田県の「なまはげ」や東北地方の「かまくら」などは広く知られています。「なまはげ」は小正月の時期に厄払いや怠け者を諭すために鬼(来訪神)が家々を訪ねて子供を脅かす行事だったそうですが、現在は大晦日に行う地域が多いようです。「かまくら」もこの時期に雪の祠を作って祭壇を設けて水神様を祀り、無病息災などを祈ったそうです。なかなか思うように休むことはできませんが、慌ただしかった年末年始の疲れを癒すために誰もが一息入れるのに丁度いい時期なのかもしれませんね。★今日も穏やかな一日になりそうですが、週末にかけて不安定な天候になる予報になりました。