「秋のお彼岸」
2022.09.20

台風14号は九州を中心に各地に大きな被害をもたらしたようです。引き続き注意が必要になりそうですね。★「日本人は無宗教」と言われることがありますがなぜでしょうか?確かに普段から宗教に深く関わっているという意識で過ごしている人は少ないのかもしれませんね。むしろ普段の暮らしの中に「神道」や「仏教」の要素があまりにも多く浸透しているので、意識することなく過ごしているという気がします。お正月には神社に参拝し、お盆やお彼岸にはお墓参りをします。また、食事の作法や挨拶、儀礼的な行事や祭りなど、多くの人々は宗教的なものと意識せずに関わっているのではないでしょうか。★江戸時代までは「神仏習合」といって日本古来の「神道」と外来の「仏教」とが入り交じった信仰を日本人は持っていたようです。明治時代になると「神仏分離令」により神道と仏教を区別することになりましたが、人々はどちらか一方を選ぶことが難しかったこともあり地域の氏神として神社に参拝する一方で、死者の供養については仏教に頼ることになったようです。日本人が「どの宗教を信じていますか?」という質問に対して一つの宗教を答えにくいというのは、古来からの歴史的背景が影響しているという見方もあります。ただ、ご先祖に対する感謝の気持ちや、道徳観、神様に対する敬虔な信仰心などは連綿と受け継がれており、独自の信仰概念が成立したと考えられています。日本人の信仰心は一つの宗教として括ることはできないかもしれませんが、日本固有の大切な精神文化なのかもしれませんね。★今日は秋のお彼岸の入り。お墓参りをして穏やかな気持ちで過ごしたいと思います。
「二百二十日」
2022.09.10

9月に入ってからは雲に覆われる日が多くなりました。南方海上で発生した台風12号の進路にも注意が必要になりそうですね。★明日は暦の上では「二百二十日」。立春から数えて220日目となります。古くから農家では「八朔(旧暦8月1日)」「二百十日」「二百二十日」は稲が開花する時期と台風などで農作物に被害が発生しやすい時期とが重なることから「三大厄日」として捉えられていたそうです。そのため、古来よりこの時期には風を鎮める祭りが各地の神社で行われたと伝えられています。★普段の生活の中で「二百十日」や「二百二十日」などの言い方を耳にすることは少なくなりましたが、昔は一般的だったのでしょうか。1906年に発表された夏目漱石の中編小説「二百十日」の作中では会話の中に「二百十日の風」という表現が多数登場します。作品は二人の男性が悪天候の中、熊本県の阿蘇山に登るという内容ですが、100年ほど前の人々にとって「二百十日」などの表現は日常的に使われていたのではないかという気がします。気象予報技術の発達した現代では「二百十日」などの表現は馴染みが少なくなりましたが、少し前までは生活の中に浸透している言葉だったのかもしれませんね。★秋のお彼岸まであと10日となりました。気温の変化も大きくなっているので体調管理には留意したいものですね。
「二百十日」
2022.09.02

今週に入ってからは雲の多い日が多くなっています。台風11号も発生しているので進路によっては注意が必要になりそうですね。★昨日は雑節の「二百十日」。立春から数えて210日目に当たる日で、毎年9月1日頃になります。稲穂が実り始める頃ですが、同時に農作物に大きな被害をもたらす台風などに見舞われる時期でもあり、古くから農村や漁村ではこの日を油断できない厄日として捉えてきたとされています。また、1923年に発生した「関東大震災」が9月1日であったこともあり、のちに9月1日は「防災の日」として制定されたそうです。自然災害の時期や規模は予想できない部分もありますので、日頃からの備えが大切と言えそうですね。★例年、私たちの工房では秋のお彼岸前のこの時期になるとお仏壇の修復などで慌ただしくなります。お仏壇は大きく分類すると「塗り仏壇」と「唐木仏壇」とになりますが、画像は30年ほど前に造られた唐木仏壇です。塗り仏壇とは製造工程が違うので修理方法も異なったものになり、手順としては分解、洗浄(すす洗い)、木地補修、塗装、金具補修、背板・障子の張り替え、組立てとなります。納期は塗り仏壇よりもやや短く、3週間から1ヶ月程度で完成です。お預かりしたこのお仏壇も秋のお彼岸前には仕上げたいと考えています。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)★朝晩にはすっかり秋めいた風が吹くようになりました。気温が低い日もありますので注意が必要になりそうですね。
「処暑」
2022.08.23

日中の暑さは厳しいままですが、お盆を過ぎてからは少しだけ過ごしやすくなったように感じます。朝晩には時折、秋めいた風が吹く日もありますね。★暦の上では「処暑(しょしょ)」を迎えました。「処」は「止まる」という意味があって、この時期は「暑さが落ち着く頃」とされています。周辺の風景も徐々に秋らしさが加わり、空には「うろこ雲」や「いわし雲」が見られるようになっています。先日通りかかった佐陀川周辺の水田でも稲穂が実りはじめ、季節の移ろいを感じさせる風情となっていました。この時期以降は晴れる日もありますが、台風などが発生する時期でもあります。無事に収穫の秋を迎えてほしいものですね。★日本では古来よりその年に収穫した最初の稲穂を神社などに「初穂(はつほ)」として奉納し、五穀豊穣を感謝、祈願する風習があったそうです。現在でも伊勢神宮などでは「神嘗祭」に先立ち「抜穂祭(ぬいぼさい)」が行われており、これは「初穂」の原形と考えられているようです。のちに稲穂に限らず、穀物、野菜、魚介類など神前に奉納されるものを「初穂」と呼ぶようになったようで、今日、神社に納める金銭のことを「初穂料」と呼んでいるのはこれに由来するとされていますね。★秋と言えば食欲の秋。私の場合は秋を待たずに食欲旺盛で、やや自粛しなければならないと感じております。