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「重陽」

2023.09.10

厳しかった猛暑も収って、朝晩はすっかり秋の気配を感じるようになりました。日中、気温が上昇する日もありますが随分過ごしやすくなっていますね。★先日通り掛かった浜佐田地区の田園でも稲刈りが始まっていました。稲穂は十分に実っており、豊かな収穫になるのではないでしょうか。例年、稲刈りの始まる時期と重なるように私たちの工房でも秋のお彼岸前に納入する仕事の仕上げで慌ただしくなります。季節の変わり目なので体調管理に留意しながらお彼岸を迎えたいと思います。★稲刈りの時期と言えば「重陽」の節句。旧暦の9月9日は「重陽(ちょうよう)」と呼ばれ、五節句の一つとして様々な行事が営まれていたそうです。もともと陰陽思想において奇数は「陽」として縁起のいい数と考えられ、その中で最も大きい「九」が重なる9月9日は「陽」が重なることから「重陽」と呼ばれ、特にめでたい日とされたようです。古くは菊の花を飾り、酒に菊の花を浮かべた「菊花酒」を飲むなどして不老長寿を願う節句が執り行われたそうで「菊の節句」とも呼ばれます。平安時代にはすでに「重陽」の節句が伝わっていたとされ、平安貴族を中心に広まったと考えられています。秋の季節に相応しい風情のある行事だったのかもしれませんね。★明日までは雲の多い天候になりそうな予報が出ています。徐々に気温も穏やかになりそうですね。

「仏壇工場見学」

2023.08.30

日中の気温は高く残暑はまだまだ厳しいようですが、早朝には秋の気配を肌で感じるほどになりました。★例年、お盆が明けると私たちは仏壇工場見学のため、国内有数の産地である徳島県に出掛けます。これは秋から来年にかけて展示する新作仏壇や、そのほか仏壇の制作工程を見学するためのもので毎年出掛けるようにしています。今回はコロナ感染症の影響もあり3年間ほど見学を控えておりましたので久し振りの見学となりました。★画像は工場内の原木を必要な寸法にカットする裁断工程エリアで撮影したものです。原木は約1年間の自然乾燥で木材の含水率を15~20%にまで下げ、さらに高温乾燥室で一旦含水率を10%以下に下げるそうです。その後、自然乾燥により時間を掛けて12~13%に戻すと安定した状態となり、ここで始めてお仏壇を造るための裁断工程に入ります。この工場で造られるお仏壇は時間をかけて丁寧に造られるため、大量生産はできませんがその品質は高く評価されています。現場の方は「大切なご先祖さまをお祀りしていただくものなので、精一杯造らせていただいています」と仰っていました。私たちも取り扱うお仏壇の製作工程を直接確認することで、安心してお届けすることができると感じています。★週末にかけても好天に恵まれる予報になりました。周辺の田園では稲穂が豊かに実り始めていますね。

「残暑」

2023.08.20

お盆が明けてからも日中は厳しい暑さとなっています。まだしばらくは体調管理に留意しなければなりませんね。★お盆にお迎えしたご先祖を見送る「灯籠流し」などは仏教的な行事のひとつですが、眺めていると子供の頃を思い出して懐かしく感じることがあります。日常の中では触れることのない古くからの儀礼的な行事にふと癒される気持ちになるのは本当に不思議なものです。普段は都会にお住まいで、お盆を故郷で過ごされる方にとっては尚更に懐かしく感じられるのではないでしょうか。★「灯籠流し」はインドや東アジア、東南アジアなど広い地域で見られる行事となっているようです。ベトナムやタイなどで行われる「灯籠流し」は日本のものとは少し形態が違うようですが、故人を弔い邪鬼を払うなど宗教的な行事という意味においては同じようです。日本では仏教が長い歳月を経て日本の文化と重なり合い、お盆にご先祖を「迎え火」とともにお迎えし「送り火」とともに見送るという行事に発展し、京都の「五山送り火」や各地の「灯籠流し」などの形で残っています。慌ただしく時間に追われる毎日ですが、時々出会う伝統行事には心が洗われるようですね。★今日も厳しい暑さになる予報が出ています。それでも朝夕に吹く風は少しだけ秋の気配を感じるようになりました。

「お盆」

2023.08.10

松江でも連日のように灼熱の暑さが続きました。時折、雲に覆われて過ごしやすく感じる日もありますが、まだまだ厳しい暑さが続きそうですね。★間もなくお盆を迎えます。私たちの工房での業務も最終段階に入りました。私たちは前年のお盆明けから次の年のお盆までの一年間を一区切りと考えますので、お盆はもう一つの年越しのような感覚になっています。お盆が明けるとその一年間を振り返り、反省点や問題点を踏まえて次の年のお盆に備えます。ただ、実際には考えていた通りに行かないことや、想定していた結果が得られないことも多く、その度に宿題が増えることになります。お盆まであと僅かとなりましたが、気を抜かずにこの一年を締めくくりたいと思います。★2500年前にお釈迦樣は「この世のすべてのことは思い通りにならない」と説かれました。また、世の中のあらゆる出来事も物質も常に変化し、互いに影響し合って成り立っており、単独で存在するものは何一つ無く、すべてがどこかで縁によって繋がり結ばれていると示されました。自分自身もやはり無常であり無我であり、自分の思っている通りには行かないとしています。思い通りに行かないことも、自分が自分以外の全てとの均衡の中で生かされているという証なのかもしれませんね。★週末にはお盆を迎えます。ご先祖や繋がるすべての方々に感謝し心静かに過ごしたいと思います。