「芒種」
2024.05.30

今日の松江は爽やかな朝を迎えました。日中の気温も上昇して「夏日」となりそうな予報になっていますね。★暦の上では間もなく「芒種(ぼうしゅ)」。芒種は二十四節気の一つで暦便覧には「芒(のぎ)のある穀類、稼種する時なり」と記されています。古くから稲などの穂先の針のような突起物(芒)のある穀物の種を蒔く(植える)時期とされてきたようです。先日通り掛かった浜佐田地区の水田でも田植えが随分と進んでいるようでした。★日本では随分古くから稲作が行われていたようで、確認できる最古の水田跡は2500~2600年前の縄文時代晩期の菜畑遺跡(佐賀県)のものになるそうです。同じ時代のものと見られる坂元遺跡(宮崎県)からも水田跡が発掘されており、九州地方から水田稲作は広まったと考えられています。稲作が大陸から伝来したと考えれば、なるほどという気がしますね。弥生時代になると本格的な農耕が開始され、稲の豊穣を祈る「穀霊信仰」なども発達したとされています。穀霊信仰は穀物の霊に対する信仰で、この世のあらゆるものに霊が宿るという「精霊信仰」のひとつと言われています。現在の日本における収穫祭や先祖崇拝などの形もこの時代の信仰にルーツを持っているのかもしれませんね。★賑やかだった軒先のツバメも静かに抱卵を始めたようです。いよいよ梅雨入りの時期となりそうですね。
「盆提灯の修理」
2024.05.20

ここ数日は穏やかな天候が続いています。今日は全国的に好天に恵まれる予報になっているようですね。★暦の上では「小満」を迎えました。小満は「万物の成長する気が徐々に強くなり、天地に満ち始める頃」とされています。秋に蒔いた麦の穂が順調に育ち、少しだけ安心できる頃であることから「小満」と呼ばれるようになったとも言われています。気候も良くなり、これからは何をするにも適した過ごしやすい時期と言えそうですね。★例年、連休を過ぎる頃から盆提灯の修理のご相談をいただくようになります。盆提灯を出してみたら虫食い穴が開いていた、というトラブルのご相談をいただくのもこの時期からでしょうか。一般に紙や絹を食べる小さな虫が原因と思われますが、デンプン質の糊を好物にしている虫もいますので盆提灯の「火袋」は特に被害を受けやすいようです。丁寧に掃除をして収納したつもりでも火袋に直接卵を産み付けることがあり、秋以降に提灯の箱の中で孵化した虫が火袋に穴を開けてしまいます。収納する際に防虫剤を入れて、比較的湿気の少ない場所で保管すれば良好な状態を維持することができます。また、電装部品や木地の修理なども可能ですので、損傷のある場合はお早めに専門店にご相談ください。★今日は松江でも青空の広がる朝となりました。日中は気温も上昇しそうですね。
「神々の美術」
2024.05.10

好天に恵まれた大型連休が明けると上着なしでは外出できないほど気温が下がりました。今日は久しぶりに穏やかな一日になりそうですね。★松江市殿町にある松江歴史館では4月26日(金)から6月16日(日)までの予定で「企画展/神々の美術」が開催されています。普段、あまり目にすることのない出雲地方の神仏や仏像、神宝が多数展示されます。特に企画展ポスター中央の「木造十一面観世音菩薩立像」はぜひ見ておきたい仏像のひとつではないでしょうか。頭上に十一面の化仏が表され、左手に未開敷蓮華(みかいふれんげ)を挿した水瓶を持つ高さ141㎝の美しい観音像。1921年に行われた解体修理の際には「文永年間(1264~1274)」の墨書きが見つかっており、鎌倉時代の製作であると推察されています。奈良時代から平安時代に製作された仏像に比べると写実的で洗練された表情となっており、国の重要文化財にも指定されています。★この観音像が造られたとされる「文永年間」はどのような時代だったのでしょうか?天皇は亀山天皇から後宇多天皇、幕府の将軍は宗尊親王から惟康親王、執権は北条氏。歴史的には蒙古襲来の「文永の役」が起きた時代として知られています。展示されている十一面観世音菩薩立像が、幾度かの修復を受けたとはいえ気の遠くなるような時間を経た今、ほぼ当時のまの状態で鑑賞できることには驚くばかりです。★明日までは青空が広がりそうな予報になりました。気温も上昇しそうですね。
「初物」
2024.04.30

今日の松江はやや雲の多い朝となりました。大型連休を迎えてからは観光で松江を訪れる方も多くなっているようです。★先週後半あたりから気温も上昇して松江城周辺の木々は青々と色付いて初夏の気配が漂っています。「目には青葉 山ホトトギス 初鰹(山口素堂)」 江戸時代の俳句で詠まれたように季節が移り変わる情景は現在とそれほど違いがなかったのかもしれませんね。特にこの時期に取れる初鰹は脂身も少なく絶品とされ、古くから俳句の題材にもされてきました。江戸の人々は初物の鰹に熱狂し、初鰹の値段は高い時で一本金二両から金三両ほどであったとか。初物を好んだ江戸の庶民にとっても「初鰹」は高価なものであったはずですが、それでも平気で食するのが江戸っ子の粋であったようです。★鰹に限らず古来より「初物」は縁起が良く、初物を食べると七十五日ほど長生きすると言われてきました。由来は様々あるようですが、験担ぎの意味もあったのでしょうか。ご先祖様への供物も季節一番の米や初物の野菜で作ったお膳をお供えする習慣があったとされ、これもごく自然なことだったのかもしれませんね。初夏に吹く風も鮮やかな青葉も普段の暮らしの中の小さなことですが、季節の旬に出会ったようでなぜかありがたい気持ちになります。★連休の後半には天候も回復して行楽日和となりそうですね。