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「歎異抄」

2024.02.20

暦の上では「雨水」を迎えました。昨日は松江の気温も20度近くまで上昇していたようです。★「善人なおもって往生をとぐ、いわんや悪人をや」 阿弥陀如来像を修理すると、時々「歎異抄(たんにしょう)」の中にあるこの一文を思い浮かべます。歎異抄は親鸞聖人の弟子である唯円(ゆいえん)が書き記したとされる文章で、親鸞聖人の教えを人々が誤って受け取ってしまっていることを嘆き、自分が聞いた親鸞聖人の言葉をありのままに遺したと伝えられています。冒頭の一節は広く知られている言葉で、本願他力の本質を表現していると言われています。★私も若い頃に仏像修理の師匠に薦められて歎異抄を読みましたが、「善人」も「悪人」も捉え方次第で意味が違ってくるので戸惑いました。親鸞聖人は「阿弥陀仏が五劫もの間 思いをめぐらしてたてられた本願をよくよく考えてみると、それはただ、この親鸞一人をお救いくださるためであった。思えばこのわたしはそれほど重い罪を背負う身であったのに、救おうと思い立ってくださった阿弥陀仏の本願の、何ともったいないことであろうか。」と仰っていたとあります。これは現代語訳で書かれたものですが、自らを迷いの中にある煩悩に満ちた凡夫と言って憚らない親鸞聖人の言葉に強い衝撃を受けたのを覚えています。★今日は雲の多い天気になりそうですね。週末にかけては気温も下がる予報になりました。

「阿弥陀如来像」

2024.02.10

今日の松江は雲の多い朝を迎えました。立春を過ぎてからは日没の時間が遅くなっているのがはっきりと分かるようになっていますね。★時々、随分古い時代に造られた仏像をお預かりすることがあります。造られた年代は分かりませんが、身丈一尺の大きな阿弥陀如来像を修理のご依頼でお預かりしました。在家の阿弥陀如来像は五寸程度までの大きさが一般的ですので一際大きく感じます。水煙光背と二つの蓮が繋がる蓮華座をもつ大変珍しい像で、厨子も折戸式となっており随所に金具も施されています。舟形光背を用いていることから一般には「浄土宗」の阿弥陀如来像ということになります。何度か修復を受けた跡が見られるので作業については状態を確認しながら慎重に進めたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解をいただいて掲載しています)★阿弥陀信仰はインドから中央アジア、東アジアにかけて広まり、中国では念仏によって極楽往生を願う浄土門の教えが起こったと伝えられています。その流れは日本に伝わり「融通念仏宗」「浄土宗」「浄土真宗」「時宗」などの成立に繋がり日本仏教の大きな潮流となったとされます。現在、国内でも浄土真宗、浄土宗に属する世帯数の割合は、全体のうちの多くを占めていると言われていますね。★明日も雲の多い天気になりそうですが、週の後半は徐々に気温も上昇する予報になりました。

「睦月」

2024.01.30

今日の松江は穏やかな朝を迎えています。気温は徐々に持ち直して、雪や雨の降る心配もなさそうですね。★早いもので新年を迎えてから慌ただしく時間は過ぎて1月も終わろうとしています。お正月休みがあるので1月は特に短く感じますね。我が家では今年、受験を控える男子がおりますので新年の初詣やお墓参り、白潟天満宮へのお参りなど、今年は尚更に気忙しかったという印象です。振り返ってみると普段の生活の中でも随分と神仏に関わることの多かったひと月であったように感じました。★普段は特に意識することはありませんが、私たちが日常的に使用する言葉の中にも仏教に関わりを持つものは多いようです。「挨拶」「会釈」「億劫」「我慢」「退屈」「油断」などはもともと仏教用語として成立した言葉だそうです。時代の流れの中で意味合いは少しずつ変化してはいるものの、言葉の成り立ちを知るとなるほどと感じるものもあります。例えば「挨拶」の「挨」は「推しはかる」「押す」「近づく」という意味で、「拶」は「せまる」「切り込む」という意味になるそうです。古来禅家では師匠が門下の僧に声を掛け、その返答で修行の度合いを推しはかっていたとか。現在では基本的な礼儀のひとつとして捉えられていますが、互いに掛け合う言葉で相手の状態を推しはかるという意味では似たような役割を持つのかもしれませんね。★週の後半に向けては不安定な天候になりそうな予報になりました。寒さの中で「立春」を迎えることになりそうですね。

「大寒」

2024.01.20

今日の松江は雲の多い朝を迎えました。日中の気温も上昇する気配はなさそうですね。★暦の上では一年で最も寒さが厳しいとされる「大寒」を迎えました。毎年、この時期になると松江城椿谷の梅が咲き始めます。昨日の椿谷では冷たい雨の降る中、枝先に近い梅が咲き始めていました。例年この時期は受験シーズンと重なることもあり、梅を眺めると学問の神様とされる菅原道真公を連想します。梅をこよなく愛した道真公が祀られる福岡の太宰府天満宮や京都の北野天満宮でも、時期になると沢山の梅の花が咲き誇るそうです。寒さの中で健気に咲く梅の花には勇気をもらえるような気がしますね。★古くから仏教も梅の花との関わりは深く、寒い冬に耐え忍ぶ姿は「座禅」や「修行」をあらわしており、やがて咲く梅の花は「悟りの世界」を示しているとも言われます。道元禅師の師匠である如浄禅師は厳しい寒さの中で修行する弟子たちを見て「雪裡梅花只一枝」という詩を贈ったと伝えられています。冬の厳しい寒さの中で雪に埋もれながらも力強く咲く梅の花の姿を詠んだ詩とされ、これは「今は辛く苦しいけれどやがて梅の花がいっせいに咲き乱れるだろう(苦難に耐えてこそ真実を掴むことができる)」という意味になるそうです。励まされるような言葉ですね。★週明けからは気温の下がる予報になりました。いよいよ体調管理には留意したい時期ですね。