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「清明」

2024.04.10

暦の上では「清明」を迎えました。終日、穏やかな一日になりそうですね。★日本では四季の移り変わりが比較的はっきりしており、その変化は日本独自の文化を生んだと言われます。住居や食事などはもちろん、風習や芸術などに至るまで季節感は密接に関わり、世界でも類を見ない自然や風土を持つ国として知られています。さらに一年を二十四の節気、七十二の候に分ける暦の概念が加わり、その中で人々は情緒豊かな感性を育んできたとされています。「清明(清浄明潔)」は万物がけがれなく清らかで生き生きとして、花が咲き、鳥が歌う爽やかな季節。いよいよ過ごしやすい気候になりましたね。★お仏壇のデザインは大陸から伝わった仏教観と、日本が持つ独自の自然観が融合して成立したと考えられています。中央には須弥壇があり、周囲には草花や鳥などの彫刻が施されています。各家庭にお仏壇が広まったのは江戸時代からとされていますが、やはりご先祖様にも花が咲き、鳥が歌う穏やかな場所で過ごして欲しいという願いがあったのかもしれませんね。この度、修復でお預かりしたお仏壇の欄間や内陣にも季節を感じさせる草花や鳥などの繊細な彫刻が施されていました。丁寧に修復してからお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)★早いもので玄関先ではツバメの姿も見られるようになっています。週末にかけては気温も上昇する予報になりました。

「春到来」

2024.03.30

今週の後半からは日中の気温も上昇して、蕾だったソメイヨシノも咲き始めています。いよいよ本格的な春の到来ですね。★明日の3月31日は「復活祭(イースター)」。キリスト教ではクリスマスやハロウィンなどと並んで大切な行事とされています。復活祭は十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが3日後に復活したことを祝う行事で、イースターの名称はゲルマン神話のエオストレ「春の女神(Estore)」に由来していると言われています。復活祭は春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に行われるのが基本で、イエス・キリストの復活を祝うとともに、春の到来を祝うという意味もあるそうです。★日本の仏教でも同じ時期の4月8日にお釈迦様の生誕を祝う「花祭り(灌仏会)」が各地で行われます。花祭りはお釈迦様が誕生したインドが起源で、やがて中国でも盛んに行われるようになり日本へも伝わりました。日本では平安時代に宮中で行われていた行事が鎌倉時代になると庶民にも広まり、現在ではお釈迦様の生誕を祝うとともに子供の健やかな成長や無病息災を祈る春の仏教行事として定着しています。大自然の営みが活発になり始める春先には世界各地で様々なお祝いの行事が行われていたようですね。★明日も好天に恵まれる予報になりました。今週末から来週にかけて花見をするには良い気候になりそうです。

「春のお彼岸」

2024.03.20

今日は春のお彼岸の中日。まだまだ寒い日もありますが、徐々に季節は冬から春へと変わろうとしています。春の到来を知らせる白木蓮の花もあちらこちらで咲き始めていますね。★ご先祖を敬い感謝する習慣は私たちの普段の生活の中に浸透していますが、特にお彼岸はご先祖を身近に感じる時期となります。仏教ではお彼岸の中日は太陽が真東から昇り、真西に沈むことからこの世(此岸/しがん)とあの世(彼岸/ひがん)がもっとも通じやすい時と考えられ、ご先祖や亡き人を偲ぶ日、あるいは来世を想う日として捉えられてきました。★そもそも「お彼岸」の習慣はいつ頃からあったのでしょうか?お盆は大陸から伝わった「盂蘭盆(うらぼん)」が祖先祭として定着したものと考えられていますが、春と秋の「お彼岸」の風習は中国などの仏教には見られない日本固有の文化となっているようです。西の方角に沈む夕日を見て西方浄土を観想する「日想観」に基づいているとも言われますがその根拠は明らかではないようです。日本に伝わった浄土信仰が日本古来の神々や風習、あるいは農耕文化や季節感などと融合して日本独自の文化として発展したのかもしれませんね。古い書物によればお彼岸の始まりは平安時代にまでさかのぼり、ご先祖を供養するなどの仏教行事として広まったのは室町時代とされています。(画像は京都銀閣寺の高台から西方を撮影したものです)★慌ただしく時間に追われる毎日ですが、お彼岸にはご先祖や大切だった方を偲び心静かに過ごしたいものですね。

「お線香やローソクによる火災の原因」

2024.03.10

早朝には小雪や小雨が降ったりしても、日中には時々晴れ間が見えるという天候が続いています。春はもうすぐそこまで来ていますね。★少し前のことになりますが、故田中角栄元首相の旧邸宅で「お線香による火災発生」という報道がありました。記事だけでは出火の詳しい原因は分かりませんが、このような火災のニュースを時々目にします。お線香が原因となる場合は、火の付いたお線香が倒れて先端の燃焼部分が座布団や燃えやすい布などに延焼することが考えられます。大勢の来客の方々が集中してお線香を立てると、灰の中に残っている燃焼中のお線香が火種となり、後から立てたお線香の根元の部分に延焼して倒れることなどが理由のひとつとして考えられています。★ローソクが原因となる場合は燃えやすいカーテンなどに燃え移るなどのほか、非常に稀ですがローソクを立てる「ローソク立て」の受皿に水分が付着していると燃え尽きる瞬間に炎が水と反応して「パチッ」という音とともに炎の付いた芯が飛ぶという報告もありました。枚方寝屋川消防組合では実際に起きたローソクの火による火災の後、受皿に水分の残ったローソクを燃焼させるという現況再現実験で609本中20本の確率(約3%)で火が付いたままの芯が落下、もしくは飛び上がるという結果(平成25年7月現在)が報告されています。★あと10日ほどで春のお彼岸を迎えることになりご仏前で火を使う機会も多くなります。その場を離れないよう心掛けるなど、安全に留意したいものですね。