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「収穫期」

2024.09.20

9月上旬に感じた秋の気配は遠のき、厳しい猛暑のまま秋のお彼岸を迎えました。今日も松江では35度を超える予報になっていますね。★実りの秋を迎えて近郊の水田では稲刈りの真っ最中です。先日、仕事で通りかかった農道沿いの稲穂も十分に実っていました。今年は大雨や台風などの心配もあり、農家の方々のご苦労は大変なものだったのではないでしょうか。先頃発表された令和6年度の作柄は全国的に「平年並み」という地域が多く何よりでした。★農水省の統計では基幹農業従事者は人口の約1.0%になるそうですが、昔の農業人口はどれくらいだったのでしょうか? テレビの時代劇などでは武士や町人が中心的に登場するので想像できませんね。実は、江戸時代の記録には国民の約8割が農業に従事していたとあります。大雑把ですが、武士や神官、僧侶などが約1割、町人その他が約1割ほどであったとか。また、商工業としては大工、鍛冶屋、桶屋、染物屋、畳屋などの製造業、穀屋、酒商、油売り、荒物屋、飴屋、魚商、塩商、たばこ屋、肴屋、茶屋などの商業が主なものであったと書かれています。それらすべてを合わせても比較にならないほど農業人口は多かったことになりますね。★秋のお彼岸は収穫期と重なるので作柄などが気になりますが、今年は特にお米に関わるニュースが多くなりました。農家の方々の努力やご苦労が報われることを願うばかりですね。

「重陽」

2024.09.10

日中の気温は上昇して連日、厳しい残暑となっています。それでも朝夕に吹く風の涼しさに秋の気配を感じるようになりましたね。★お盆が明けると私たちも秋のお彼岸までに納入する業務で慌ただしくなります。画像は洗浄・クリーニングでお預かりした唐木仏壇の分解途中のものです。これは昭和の終盤に造られたお仏壇で、木地は大変安定しており組立ても丁寧な技法となっていました。お線香などの油煙による汚れは見られるものの大切にされてきた様子がうかがえます。このあと全体の洗浄、木地表面の調整、塗装、障子張り替え、背金張替、組立てという手順で進めることになります。丁寧に仕上げてお彼岸までにはお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解をいただき掲載しています)★今週は「菊の節句」と呼ばれる「重陽(ちょうよう)」を迎えました。現在は稲刈りの時期と重なるので秋の入り口というイメージになっていますね。もともと陰陽思想では奇数は「陽」とされ、縁起のいい数と考えられてきました。その中で最も大きい「九」が重なる9月9日は「重陽」と呼ばれ、特にめでたい日とされたようです。日本では旧暦の9月は菊の花が咲く時期であることから「菊の節句」と呼ばれるようになったと言われます。「桃の節句」や「端午の節句」などに比べると馴染みは薄くなっていますが、現在でも各地で風情のある様々な「重陽」の行事が行われているようですね。

「二百十日」

2024.08.30

台風10号の接近にともない各地で大きな被害が発生しているようです。気象庁では今後も暴風や大雨に十分警戒するよう呼びかけていますね。★暦の上では間もなく「二百十日」。これは立春から数えて210日目という意味で、今年は8月31日となります。二百十日は古くから季節の変わり目となる時期で、台風などが発生して天候が荒れやすくなる頃とされ、農家などでは稲の出穂期に当たることから「厄日」とする地域もあるようです。無事に秋の収穫期を迎えてほしいものですね。★お盆を過ぎてから僅かな時間でしたが、私たちも暫しの休息をいただきました。心身共に新たな気持ちで今年の後半に臨みたいと思います。休息中には普段は慌ただしくてできない漆箔作業や彫刻の検証、あるいは筆文字の調整などを行いました。今でも以前に師匠から教わった通りの検証方法を繰り返しています。文字を彫刻する場合は自分の意思というより、指先が勝手に動いて彫刻できるようになるまで繰り返し練習して体に染み込ませるよう教えられたのを思い出します。もちろん道のりは遙か遠く、どこまでも練習の積み重ねということになりそうです。★台風は今夜にも島根県に最接近する予報になりました。今後も最新の情報を確認しながら備えなければなりませんね。

「処暑」

2024.08.20

8月16日には松江大橋周辺で「灯籠流し」が行われました。静かに川面を流れる灯籠はとても幻想的で、この時期の風物詩になっていますね。灯籠流しで精霊を送ると間もなく「処暑」を迎えます。処暑(しょしょ)は二十四節気のひとつで「厳しい暑さが収まる頃」とされています。とはいえ日中の気温はかなり上昇しているのでもう暫くは暑さ対策が必要になりそうです。★電気の無かった時代の人々は扇風機もエアコンも無い生活の中で暑い夏をどのように過ごしたのでしょうか? 便利になった現在の生活からは想像することさえ難しいですね。古い書物などには江戸時代の人々は日常の暮らしの中で涼しさを求めるために様々な工夫をしていたと書かれています。日中は簾(すだれ)や葦簀(よしず)などを活用して風通しの良い空間で過ごすのが基本だったようで、家の玄関先や道に水をまく「打ち水」も盛んに行われたそうです。また、井戸水で冷やした「西瓜」や、商人が売り歩く「冷や水」も人気があったとか。意外ですが、「甘酒」なども栄養補給と夏バテ防止の効果もあることから好んで飲まれていたそうです。日々の暮らしの中では「金魚」や「風鈴」なども涼しさを演出する小さな工夫だったのかもしれませんね。★まだまだ残暑は厳しいですが、先人達の工夫に倣って暑い夏を乗り切りたいものです。