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地蔵菩薩の台座

2016.11.09

今日の松江は朝から雨雲に覆われて時折小雨が降っています。肌寒い一日になりそうですね。★地蔵尊は菩薩ですので蓮華座に立つのが一般的ですが、修理でお預かりした地蔵尊は珍しい須弥座の上に岩座を載せた形になっています。立像ではなく座った形の半跏踏下げ像の場合、時々このような岩座を見ることができます。この地蔵尊は丸型厨子に納められていて、裏書から天保七年(1836年)に制作されたことがわかります。さらに記録には「小野篁(おののたかむら)」の建立した地蔵菩薩にご縁を頂いて造られたとの文面も見られます。「小野篁」は平安時代の文人で百人一首の作者としても知られていますが、師弟関係にあった「満慶上人」とともに820年に奈良大和郡山の「矢田寺」に地蔵菩薩を建立しており、これは日本最古の延命地蔵尊となるそうです。地蔵信仰は平安中期以降に広がりを見せたと言われますが、画像の地蔵菩薩の台座の彫刻もきめ細かく繊細で当時の地蔵信仰の厚さを感じます。丁寧に修復してからご依頼主にお返ししたいと思います。★明日も不安定な天気になりそうな予報になりました。朝晩は冷えるようなので体調管理には気を付けたいですね。