「聖観音立像修復」
2022.05.20
今週に入ってからは松江でも最高気温が25℃を超える日が多くなっています。昨日は全国各地で夏日となっていたようですね。★私たちの工房ではこの時期からお盆前にかけて仏像や仏具の修理で慌ただしくなります。画像は修復でお預かりした「丸厨子と聖観音立像」で、分解工程途中のものです。厨子、台座ともに傷みがあり、本来あるはずの蓮華座は欠損した状態です。ただ、観音像本体の状態は保たれており、時間は掛かりそうですが十分に修復は可能と考えています。この観音像は真鍮の光背に手打ちの型抜きが施された大変珍しい構造になっています。昭和の終わり頃には時々見かけたこの真鍮光背も今ではすっかり見かけなくなりました。★仏像を修復する場合は、油煙や煤を落としてから修復の方向性を決めることになりますが、この段階で色々と悩み始めました。真鍮光背には金箔が施された形跡はなく、本来は金箔厨子に真鍮磨きの光背という組み合わせであったと思われます。真鍮の再メッキという方法もありますが、厨子の純金箔とのバランスを考えると躊躇してしまいます。悩んだ末に、今回は真鍮に下地処理を施し、時間を掛けて塗り箔で仕上げることにしました。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)★しばらくは好天が続きそうです。こまめな水分補給は欠かせませんね。