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スタッフブログ

「観音菩薩坐像修理④」

2021.06.25

今日の松江は青空の見える穏やかな朝を迎えました。終日、雨の心配はなさそうですね。★暦の上では「夏至」。この時期は昼間の時間が一年で最も長く、夜明けも早いことから農作業などがはかどる頃とされています。夏至から「半夏生」にかけては、各地で収穫された地物をお供えしたり食べたりして豊作や健康を願う風習があるそうで、関東の「小麦餅」、関西の「タコ」、福井県の「鯖」などは広く知られています。地域は異なっても豊作を願う気持ちは同じようですね。★観音菩薩像の修理は最終段階となりました。厨子に扉を取り付けてから、台座部分を厨子に納まるよう前後位置を考慮して組み立てます。光背(観音像の後ろの舟状の彫り物)は高さを慎重に決めて固定し、柱を取り付けると完成です。各部に傷みの見られた観音菩薩像ですが、構造体はしっかりしており、彫刻も丁寧なものでしたので順調に修復は完了しました。★観音菩薩は大慈大悲の仏さまで、日本では飛鳥から白鳳期頃には造像されていたようです。観音経(観世音菩薩普門品)には種々の姿に身を変えて、衆生のあらゆる苦難を救う菩薩と説かれています。また、観音様と向き合うことは、自分自身の内面と向き合うことに繋がるとされ、時代を越えて広く浸透したとされています。