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スタッフブログ

「観音菩薩坐像修理②」

2021.06.05

昨日の松江は朝から雨模様でしたが、今日は青空ものぞく朝を迎えました。終日、雨の心配はなさそうです。暦の上では「芒種(ぼうしゅ)」を迎えています。例年はこの時期に梅雨入りすることも多く、気温や湿度の変化が激しくなることから食中毒の流行り始める時期と言われます。日中の気温が急に上昇する日も多くなる時期なので、水分補給にも心掛けたいですね。★観音菩薩の修理は「塗り工程」の終盤に差しかかりました。分解してから分かったことですが、これまでに何度か修復を受けた痕跡がありました。厨子の柱周辺の部材は一部が欠損していたようで、同様の木地で丁寧に後補されていました。今回の修復では台座の部分の木地の痩せが原因と思われる傾きがあり、全体が垂直にならない問題が発生したので差し板をいれて調整しています。仏像を修復する場合は細かく分解するほど丁寧な修復が可能ですが、接着で用いられた膠(にかわ)の固着が強すぎると膠が溶ける前に木地が傷んでしまいますので、分解は程々のところで留めます。今回は損傷の具合と箔押し工程を考慮して、台座部分の分解は3分割としました。「塗り工程」は研ぎと塗りを繰り返す地味な作業ですが、手の抜けない大切な工程と言われます。★明日からはまた青空が広がりそうな予報になりました。気温も上昇しそうですね。