header

スタッフブログ

「位牌修理③」

2021.03.05

今日の松江は雨模様になっていますが、風は温く気温もそれほど低くないようです。徐々に春の気配を感じるようになりますね。★暦の上では「啓蟄(けいちつ)」を迎えました。啓蟄は土の中で冬ごもりをしていた虫たちが春の訪れを感じて這い出して来る頃とされています。2月の終盤から降った雨も大地を潤して、これまでモノトーンだった松江城周辺の草木も鮮やかな色合いになってきました。慌ただしく過ごす日々の中では見失いがちになりますが、いよいよ季節の変わり目に差しかかっているようですね。★位牌の修理は最終段階となりました。ここでは「箔押し漆」を摺り込み、金箔を張り付ける作業になります。刷毛で摺り込んだ漆を綿で丁寧に拭き上げ、静かに金箔を張り付けます。師匠から「彫り物の奥に入り込んだ漆も丁寧に拭き上げること」と厳しく教わったことを今でも思い出します。拭き残しがあると金箔の仕上がりにムラが出るので漆の表面が平滑になるよう丁寧に拭き上げます。慣れるまではこの作業がとても難しく感じたものです。最後に札板部分の金箔が十分に乾いたことを確認してから黒漆で戒名を書き入れます。これはやり直しの許されない作業ですので細心の注意を払って仕上げ、書き入れた戒名が乾けば完成となります。★まだまだ寒い日もありそうですが、体調管理に留意して暖かい春を迎えたいものですね。