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スタッフブログ

「唐木位牌」

2020.12.05

師走を迎えて気温も一段と低くなりました。先週は松江でもみぞれが降り、いよいよ冬の入り口に差しかかったようですね。★塗り位牌は一般的に、木地加工、下地塗り、中塗り、胡粉下地塗り、上塗りという工程を経て作られますが、近年はお仏壇の材質に合わせて黒檀や紫檀などを使用した「唐木位牌」も用いられようになりました。繊細な「塗り位牌」に対して「唐木位牌」は独特の趣があり、重厚感のある仕上がりとなります。私たちの工房では関東方面からのご依頼でこの唐木位牌の割合が少しずつ増えているようです。これらは地域性もあるのかもしれませんね。★位牌の戒名を手彫りで入れる場合は画像のような筆、すずり、小刀の道具を用います。中心線を引くための穂先の短い筆で戒名文字のレイアウトを決めて、穂先の長い蒔絵筆で戒名を下書きします。下書きが乾いたら文字をトレースするように小刀で丁寧に彫刻します。唐木位牌の場合は彫刻しても白い胡粉下地が出てこないので、札板表面と彫刻部とのエッジ(彫り端)を見てバランスを整え、彫刻した後は金などを入れて文字を引き立たせます。私は画像のような「切出し刀」を使用しますが、彫刻職人にはそれぞれの伝承技法があり、「平刀」や「三角刀」などの全く異なる道具を用いているのは興味深いですね。★来週の前半までは穏やかな天候になる予報になりました。ただ、朝晩の冷え込みは厳しくなりそうなので体調管理には留意したいものです。