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スタッフブログ

「須弥壇 修復」

2020.03.05

今日は「啓蟄」。朝晩の冷え込みも徐々に穏やかになって春の気配を感じる日も多くなりますね。★3月には春のお彼岸を迎えますが、工房でも仏具の修理などで徐々に慌ただしくなりそうです。画像は修復でお預かりした在家用の須弥壇(しゅみだん)の修復途中のものです。裏には「文政九年丙戌十二月 大吉祥日」と墨書きされており、194年ほど前に作られたものであることが分かりました。在家用の須弥壇が残っていること自体珍しいのですが、状態は良く、大切にされてきたことが分かります。残念ながら、向かって右脇の高欄部分が欠損していましたので、新たに作り直して補うことにします。木地に透き漆を施しただけの素朴な作りですが、丁寧に組み上げられており、当時の職人の気持ちが伝わってきます。★須弥壇とは仏教寺院のご本尊を安置する場所とされ、仏像などを置く一段高く設けられた壇のことを指します。これは古代インドにおける世界観の中心にそびえる聖なる山とされる須弥山(しゅみせん)に由来するそうです。奈良時代までは仏堂が土間であったので石造や漆喰造が多かったそうですが、平安時代には仏堂の板敷に合わせて須弥壇も木造となったようです。現在、家の中に置かれる多くの仏壇の中央部分にも、この須弥壇の構造を見ることができます。★今日の日中は雨雲が残りそうですが、明日は穏やかな天気になりそうですね。