「観世音菩薩」
2019.12.15
今年も残り僅かとなり何かと気忙しくなってきました。年の瀬の準備も始めなければならない時期になりましたね。★仏像を修理する場合は木地の傷みや、漆の損傷具合によって手順が変わります。また、ご依頼主様のご要望により現状維持を優先する場合と、新しく塗り替えて金箔を押す場合では異なる技法を選ぶことになります。画像は100年以上前に制作された「観世音菩薩像」で、完全修復のご依頼でお預かりしました。約3か月間かけて丁寧に修復することになりますが、制作当初の状態を再現するために細心の注意を払って作業を進めて行きます。修行時代を含めて多くの観世音菩薩像の修復を担当させて頂きましたが、その度に身の引き締まる思いがいたしますね。★大慈大悲の菩薩といわれるこの観世音菩薩は普門示現とされ、あまねく衆生の苦悩を救済すると説かれています。平安時代末期に成立した西国三十三所観音霊場巡礼の信仰形態はこの菩薩に対する特別な関心を示していると言われ、現在でも多くの観音霊場巡礼が全国各地で見られます。また、毎月18日は「観世音菩薩」のご縁日にあたり、特に12月18日は一年の最後の縁日ということで「納めの観音」と呼ばれています。正月の縁起物を売る露店が軒を連ねる東京浅草寺の縁日は有名ですね。★明日の朝は冷え込む予報になりましたが、日中は穏やかな天気になりそうです。