「秋祭り」
2025.09.30

秋のお彼岸を迎えてからは日中の暑さも和らぎ、朝晩には涼しい風も吹くようになりました。過ごしやすい季節の到来ですね。★この時期になると収穫祭や感謝祭などの秋祭りで賑やかになります。私たちの住む松江でも10月には恒例行事となる「松江祭鼕行列」が執り行われます。10月4日(土)にはプレイベントとなる「鼕まつり」が松江城大手前広場で開催され、18日(土)には「宵宮」と呼ばれる前夜祭が橋南と橋北の2カ所で行われます。さらに翌日の19日(日)には本番となる「松江祭鼕行列」が盛大に開催されます。普段は静かな町ですが、この日ばかりは賑やかな一日となりますね。★日本は祭りの多い国として知られており、大小含めると30万にものぼる数の祭りが年間を通して開催されているそうです。農耕民族として生きてきた日本人は「祭り」という儀式を通して大自然の恵みに感謝してきた歴史があり、万物に神が宿る「八百万の神」という考え方も、人々が多くの「祭り」を受け継ぎ大切にしてきた理由であったと考えられています。江戸時代中期頃の人口の約8割が農家であったことを考えると、各地で地域色豊かな祭りが発達したのは自然なことだったのかもしれませんね。★今週は比較的穏やかな天候になる予報が出ています。祭りの当日も好天に恵まれると良いですね。
「忍性」
2025.09.20

今日は秋のお彼岸入り。日中の暑さも和らいで、秋の訪れを感じる気候になりましたね。★仏教に関する書物には「慈悲」という言葉が頻繁に登場します。言葉としては理解しているつもりですが、どのような意味なのでしょうか? 仏教における「慈」は他者に安楽を与えたいと願う心、「悲」は他者の苦しみや困難から解放されることを願う心という意味になるそうです。お釈迦様は生涯を通してこの「慈悲」の心を持ち続け、その重要性を説かれたと伝えられています。★鎌倉時代に生きた「良観房忍性」は真言律宗の僧侶で、大変に慈悲深い方だったことで知られています。ハンセン病などの重病者を保護する施設の「北山十八間戸」を造り、多くの人々を救済しました。忍性は手足が不自由で数日間も食事をとれない患者を明け方に奈良坂まで迎えに行き、自ら背負って奈良の市中の乞場まで連れて行き、夕方には送ったとされ、これが休みなしに数年間も続いたそうです。また、非人の救済、捨子の養育、療養所の設置をはじめ、寺院の造営や橋、道などを造り困っている人々のために生涯にわたり尽くしたとされています。★お彼岸は御先祖に感謝するとともに「見返りを求めない施し(布施)」などの「六波羅蜜」を実践する期間とも言われます。気忙しい日常の中ではなかなか思うように行きませんが、日頃から少しだけでも心掛けたいものです。
「養生訓」
2025.09.10

今日の松江は雲の多い朝を迎えました。立春から数えて210日目となる今日は「二百十日」と呼ばれ、気候が不安定で台風が多くなる頃とされています。季節の変わり目でもあり、夏の疲れが現れる時期でもありますね。健康には十分に留意して過ごしたいものです。★「健康に留意する・・・」 私もよく使用する言葉ですが、具体的に何をどのように留意すれば良いのでしょうか? 江戸時代の儒学者である「貝原益軒」が著した「養生訓(1712年)」には健康に関する養生論が記されています。「運動を怠らず、控えめな食事、ほどよい休息を心掛けよ」「好物であっても腹八分目」「栄養を与えすぎると体が弱る」「酒はほろ酔いに留めよ」「季節ごとの気温や湿度に合わせて体調を管理せよ」とあります。普段の暮らしを省みると耳の痛くなるような言葉も記述されていますね。さらに「悩み苦しむと生命力がすり減る」「怒りと欲望は養生の大敵」「心は静かに、体は動かせ」としています。また、「孟子」の君子の三楽にちなみ養生の視点から「道を行い、善を積むことを楽しむ」「病に罹ることのない健康な生活を楽しむ」「長寿を楽しむ」などを奨めています。★300年も前に書かれた健康に関する指南書ですが、身体だけでなく「心の養生」についての記述があるのは意外な気がします。慌ただしい現代社会でこそ参考にしたい養生法なのかもしれませんね。
「処暑」
2025.08.29
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週が明けるといよいよ9月を迎えて稲の収穫期となります。今年は梅雨明けからまとまった雨が降らず心配でしたが、お盆前後からは少しずつ雨量も増えていたようです。稲の育成は天候に左右されるだけに収穫の日まで心配は尽きません。豊かな実りの秋になるといいですね。★私たちの工房ではお盆明けから「唐木仏壇」の修復作業を続けています。画像のお仏壇はご依頼者様にとっては思い出もあり、どうしても残したいということで修復のご依頼をいただきお預かりしました。製造から長い時間が経過していますが、表面は擦り傷や欠損部位などはあるものの、本体はしっかりと組み上げられており、扉や障子を含めて歪みはほとんどありませんでした。唐木仏壇の修復手順は、線香やローソクの油煙を洗い落とし、表面の傷の補修と欠損部位を製作して木地を整えます。その後、塗装と金装飾、障子の張替え、金具の交換となります。唐木仏壇は細かな彫刻部分もありますので取り扱いには注意が必要になりますね。丁寧に仕上げて秋のお彼岸前にはお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解をいただき掲載しています)★「処暑」を過ぎてからは時折、赤トンボの姿を見かけるようになりました。朝晩に吹く風もほんの少しだけ暑さが和らいできたように感じますね。