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鰐淵寺「浮浪の滝」

2016.11.27

今日の松江は朝から雨模様です。気温もそれほど上がりませんでしたね。★今日は出雲市での所用を済ませてから「鰐淵寺」まで足を延ばしました。「秋の紅葉祭り」の最終日ということで、小雨模様ではありましたが多くの方々が参拝されていました。平安時代から室町時代まで栄えた「鰐淵寺」は普段の慌ただしい日常から隔離されたような趣で、ここだけ時が止まっているような佇まいです。本坊前付近や階段両側のもみじや銀杏はこのところの悪天候で散っていましたが、朝からの雨でいっそう「修験の聖地」という風情を見せてくれました。ここは推古2年(594年)智春上人が推古天皇の眼疾を浮浪の滝に祈って平癒されたので、その報賽として建立された勅願寺とされ、智春上人が修行中に誤って滝壺に落とした仏器を鰐魚(わに)がその鰓(えら)にかけ浮かび上がったことにより寺号を生じたと伝えられています。写真は本坊から500メートル上った険しい岩肌に建てられた「蔵王堂」と「浮浪の滝」です。一人やっと歩ける細い道を歩いて10分ほどで辿り着きますが、雨に濡れた岩肌やぬかるみを歩くのでやや息が上がりそうになります。途中までは傘を片手に余裕で歩いていましたが、終盤の坂道では雨に濡れながら両脇の小枝を掴んでしまいました。まさに修験の地です、智春上人も武蔵坊弁慶もこの滝に打たれたのでしょうか。★明日も不安定な天気になりそうです。朝晩の気温が低い日もありますので留意したいですね。

佐太神社「神在祭」

2016.11.22

今日は暦の上では「小雪(しょうせつ)」ということでいよいよ寒さが厳しくなる時期です。ただ、このところ暖かい日が続いているのでまだ冬の入り口という実感が湧きませんね。★昨日は鹿島町への納品の帰りに佐太神社に立ち寄りました。佐太神社では例年この時期に「お忌まつり(神在祭)」と呼ばれる例祭が20日から25日までの予定で執り行われます。昨日の午前中は祭りの初日ということで露店などの準備がすすめられていました。特に今年は「正遷座祭」の年ですので例年以上の人出が予想されます。この祭りの時期には天候が悪くなることが多いので、地元ではこの時期の悪天候を「お忌荒れ(おいみあれ)」などと呼びますが今年は穏やかな「神在祭」になるのでしょうか。子供の頃に父親に連れられて参った「神在祭」には「嵐のまつり」という記憶が多いですね。佐太神社の本殿は大社造りの社殿が三殿並立する極めて珍しいものだそうです。出雲国三大社のひとつに数えられ、その歴史は古く「出雲国風土記」にも登場します。現在の建物は文化4年(1807年)の造営だそうですが、残っている棟札、指図版からみて様式的には少なくとも貞享4年(1687年)以前にさかのぼるとされています。★先ほど福島県沖で地震が発生したというニュースが流れました。詳しいことはわかりませんが津波警報も出ており、東日本大震災を思い出します。何事もなければいいのですが。

地蔵菩薩の台座

2016.11.09

今日の松江は朝から雨雲に覆われて時折小雨が降っています。肌寒い一日になりそうですね。★地蔵尊は菩薩ですので蓮華座に立つのが一般的ですが、修理でお預かりした地蔵尊は珍しい須弥座の上に岩座を載せた形になっています。立像ではなく座った形の半跏踏下げ像の場合、時々このような岩座を見ることができます。この地蔵尊は丸型厨子に納められていて、裏書から天保七年(1836年)に制作されたことがわかります。さらに記録には「小野篁(おののたかむら)」の建立した地蔵菩薩にご縁を頂いて造られたとの文面も見られます。「小野篁」は平安時代の文人で百人一首の作者としても知られていますが、師弟関係にあった「満慶上人」とともに820年に奈良大和郡山の「矢田寺」に地蔵菩薩を建立しており、これは日本最古の延命地蔵尊となるそうです。地蔵信仰は平安中期以降に広がりを見せたと言われますが、画像の地蔵菩薩の台座の彫刻もきめ細かく繊細で当時の地蔵信仰の厚さを感じます。丁寧に修復してからご依頼主にお返ししたいと思います。★明日も不安定な天気になりそうな予報になりました。朝晩は冷えるようなので体調管理には気を付けたいですね。

「銀閣寺・東求堂」

2016.11.05

朝晩はめっきり冷え込むようになりました。いよいよ暖房器具の準備の時期ですね。★京都の展示会では時間をかけて多くの仏具を見ることができました。今更ながら京都の工房で作られる仏像などの製作技術のレベルの高さには驚きます。大切に残していただきたいですね。展示会のあと僅かな時間でしたが銀閣寺、南禅寺などを拝観しました。画像は銀閣寺の玄関口にある花頭窓越しに見る庭園部分です。少しずつ色づき始めてはいましたが、まだ紅葉には早い時期でしたね。紅葉のピークは11月下旬頃だそうです。「銀閣寺」とは通称で正式には「東山慈照寺」と呼ばれます。もともと室町幕府八代将軍義政公によって作られた山荘(東山殿)でしたが、将軍没後は臨済禅宗の寺院となりました。同じ敷地内には「東求堂(とうぐどう/国宝)」と呼ばれる持仏堂があり、ここの書院造りは現存する日本最古の遺構を持っている貴重な建築物と言われます。また、持仏堂内部の位牌棚の構造資料は仏壇の源流を考える上で非常に大切なものとされています。この日は東求堂も「秋の特別公開」となっていて、500年前そのままの佇まいに感動しました。★今日は雨の心配はなさそうです。ただ、朝晩の気温は低いので衣類も冬支度ですね。